内閣府は、自治体が所有する非常時用のキッチンカーについて、平時も活用する方法を研究する。災害が起きた際は被災者に温かい食事を提供できるが、普段は使われず、維持管理費が膨らむケースも考えられる。そこで、事業者への貸し出しなどを通じ、街のにぎわいづくりに一役買いつつ、維持費を出してもらう仕組みを想定。まずは、各地のキッチンカーがどのような状況になっているのか、2025年度中に調査する。
 非常時用のサービスを平時に活用する発想は「フェーズフリー」と呼ばれ、近年の防災対策に取り入れられている。自治体の財政運営が厳しさを増す中、民間の力を借りながら、激甚化・頻発化する自然災害に備える狙いだ。
 24年度補正予算で、地方創生を後押しするための国の交付金の補助対象にキッチンカーやトイレカーが加わったことを受け、購入する自治体が相次いだ。これらを災害対応車両として国に登録する制度も今年6月から始まった。ただ、トイレカーはイベントなどで活用されやすいのに対し、キッチンカーは調理する人がいないと使えないほか、自治体の財産を営利目的で貸し出すことが可能か整理が必要といった事情がある。
 内閣府担当者は「平時からキッチンカーを使う事業者が非常時にも出動するようになれば効率的ではないか」とみている。内閣府は、食品衛生や車両管理などの関係法令に活用を阻む規定がないかについて確認。活用を後押しするための実証実験も視野に入れながら、具体的な仕組みを議論する。 
〔写真説明〕復旧支援にあたる職員らに向け、炊き出しを行うキッチンカー=2024年1月、石川県輪島市

(ニュース提供元:時事通信社)