【バンコク、ワシントン時事】タイ・カンボジア国境地帯の武力衝突を巡り両国が合意した停戦は現地時間29日午前0時(日本時間同2時)、発効した。ただタイ軍は同日、「カンボジア側が合意に違反して複数の攻撃を行った」と主張し、緊張状態が続いている。
 両国軍の地域司令官は29日に協議。停戦の着実な履行に向けて合意できるかが焦点となる。
 未画定の国境を巡り長年対立するタイとカンボジアは24日に本格的な戦闘を始め、双方で民間人を含め30人以上が死亡、約30万人が避難生活を余儀なくされる事態となった。両国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国マレーシアのアンワル首相やトランプ米大統領が停戦の仲介に乗り出し、28日に米中の代表者も加わった首脳会談で停戦合意が実現した。
 トランプ氏は停戦合意後、タイのプームタム首相代行、カンボジアのフン・マネット首相とそれぞれ電話会談。SNSで「戦争終結で何千人もの命が救われた」と強調し、「私は(就任から)わずか6カ月間で多くの戦争を終わらせた。平和の大統領であることを誇りに思う」と自画自賛した。同時に、衝突を受けて一時停止していた両国との関税交渉の再開を事務方に指示した。
 カンボジアのフン・マネット氏はフェイスブックで、会談終了後にトランプ氏から電話があったと投稿。「同氏は停戦交渉の成功を重要な課題と捉えている。マレーシアの停戦監視団に米国が協力することに同意した」と明かした。
 タイのプームタム氏も帰国後、トランプ氏との電話を公表。「今後の関税交渉はタイと米国に有益で、非常に喜ばしい結果になると伝えられた」と述べた。 
〔写真説明〕28日、タイ東北部シーサケート県で、タイとカンボジアの停戦合意を喜ぶ人々(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)