【サンパウロ、北京時事】新興国グループ「BRICS」は8日、オンラインで首脳会合を開いた。議長国ブラジルの声明によると、トランプ米大統領の高関税政策などを念頭に「国際的に高まる不安定に直面」する中で「多国間主義を守り、強化する」方針を確認した。米国を名指しで批判するのは避けており、対立の激化を避けたい思惑も垣間見えた。
 BRICSは7月の首脳会議で、多国間主義の推進をうたった首脳宣言を採択。一方的な高関税政策を導入したトランプ氏をけん制した。しかし同氏は8月、加盟国のブラジル、インドへの関税を50%に引き上げた。反米的と見なすBRICSへの同調国にも10%の関税を上乗せすると警告しており、加盟国内で不満が高まっている。
 ブラジルのルラ大統領は会合で「関税の脅しが市場を勝ち取り、内政問題に干渉するための手段として常態化しつつある」と言及。BRICSが貿易や金融の統合を進めることで「保護主義の影響を緩和する安全な選択肢を提供できる」と訴えた。
 中国の習近平国家主席は「幾つかの国が貿易戦争や関税戦争を開始し、世界経済に深刻な影響を与えている」と批判。BRICSの緊密な協力を通じて中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」を推進することに意欲を示した。 
〔写真説明〕ブラジルのルラ大統領=7月7日、リオデジャネイロ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)