【ニューデリー時事】ネパールのオリ首相(73)は9日、政府による主要なSNSへのアクセス遮断に抗議する大規模デモを受け、辞任を表明した。SNS規制だけでなく政治家の汚職に対する不満も背景に、オリ氏の辞職を求める声が高まっていた。
 9日は首都カトマンズを含む主要都市で、デモ隊が当局による外出禁止令を無視して抗議行動を展開。オリ氏や閣僚の自宅などへの投石や放火が行われた。航空当局はデモ激化を受け、首都にある国際空港への離着陸を禁じたと発表した。
 8日にはデモ隊と警官隊の衝突が全土に拡大し、少なくとも19人が死亡した。カトマンズ中心部には警察発表で約1万2000人の若者らが集まった。デモ隊は議会の建物などへの侵入を試み、警官隊は放水や催涙弾に加え、実弾も使用して対応したと伝えられている。
 死傷者続出の責任を取り内相が辞任し、政府の対応に同意できないとして農相も辞意を表明した。主要紙カトマンズ・ポスト(電子版)は社説で「(ネパールの民主制移行後で)8日は最も暗い日だった」と指摘。「(オリ氏は)無実の市民を殺害した主犯であり、辞任以外の選択肢はない」と非難していた。
 ネパール政府はかねて、偽情報や有害なコンテンツの拡散防止を目的に、SNS運営企業に所定の手続きを取るよう要求。企業側が応じなかったため、政府は4日、フェイスブックなど26のSNSのアクセスを遮断した。8日のデモを受け、禁止措置を解除したが、混乱は収拾していない。 
〔写真説明〕ネパールのオリ首相=4月2日、バンコク(EPA時事)
〔写真説明〕9日、ネパールの首都カトマンズでの抗議行動(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)