政府が、人工知能(AI)のリスクを軽減して研究開発や利用を促す「AI指針」を策定することが11日、分かった。5月に成立した「AI新法」に基づき、民間企業や利用者に適正利用の考え方を示す。12日の人工知能戦略本部(本部長・石破茂首相)初会合で示す「AI基本計画」骨子案に盛り込み、具体的な内容を有識者会議で議論。基本計画と共に年内にまとめる。
 文章や画像を自動で作る「生成AI」は誤情報や悪用のリスクが指摘され、日本では利用に慎重な傾向がある。ただ、海外の開発競争は激しさを増しており、出遅れれば競争力の低下にもつながるため、守るべきルールを指針で明確にして安心して使える環境を整備する。
 指針は、2023年に広島市で開かれた先進7カ国首脳会議で日本が主導した国際的なルール作りの枠組み「広島AIプロセス」なども踏まえて策定する。政府機関「AIセーフティー・インスティテュート」を強化し、AIの適正性を評価する機能も設け、透明性を高める。
 AI基本計画の骨子案は、利活用の推進や開発力強化、AI社会に向けた継続的変革などを柱に据えた。日本の強みである質の高いデータを生かし、日本の文化や習慣を踏まえた「信頼できるAI」の開発を支援する。AIデータセンターやスーパーコンピューター「富岳」の後継機を整備し、開発基盤の強化も進める。 
〔写真説明〕石破茂首相=8月26日、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)