地球規模で気候変動が進行する中、日本でも記録的高温が頻発している。8月には群馬県伊勢崎市で41.8度を観測し、国内の最高気温を記録。6~8月の日本の夏の平均気温も統計開始以来の最高を更新した。専門家は、夏が長引いて春秋が短くなる一方、冬の期間は変わらず、「二季化」が進んでいると指摘。「この異常事態に危機感を持つべきだ」として、気候変動対策の強化が欠かせないとみている。
 三重大学の研究チームが北海道から九州までの海洋を含む範囲を約200区画に分け、1982~2023年の最高気温と最低気温を分析したところ、42年間で「夏の期間」が前後に約3週間(約21.4日)延びたことが分かった。また、24年の「夏の期間」は6月8日~10月18日の133日間で、最長だったという。一方、「冬の期間」はほとんど変化がなかった。
 立花義裕教授(気象学)は、日本がユーラシア大陸の端に位置し、太平洋に面していることから、陸と海の2方向から暑さがもたらされると説明。「日本は温暖化の被害を一番受けている国の一つだ」と強調する。
 猛暑のみならず、豪雨、竜巻、洪水といった気候変動の影響で発生する「気候災害」についても、立花氏は「温暖化のペースは研究者の予測よりも速く、何も対策をしなければ加速度的に進行してしまう」と指摘。50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標に関し、前倒しして達成を目指す必要性を訴える。 
〔写真説明〕8月5日、国内の最高気温を記録した群馬県伊勢崎市

(ニュース提供元:時事通信社)