【シドニー時事】オーストラリアの情報機関「保安情報機構(ASIO)」は14日までに、中国政府とつながりを持つとみられるハッカー集団が豪州の通信網など重要インフラに対する探索活動を行っていると公表した。仮にサイバー攻撃に発展してインフラの被害が1週間続いた場合、経済的損失は60億豪ドル(約6100億円)に上るとの試算を示した。
 ASIOのバージェス長官は12日の経済団体会合で、中国系ハッカーの「ソルトタイフーン」と「ボルトタイフーン」が探索活動を続けていると名指しで説明。通信、交通、水道、エネルギーの基幹システムが標的にされ、「妨害工作が起こり得る臨界点に近づいている」と危機感を示した。
 ソルトタイフーンは米国の大手通信企業、ボルトタイフーンは米領グアムのインフラにサイバー攻撃を行ったと報じられている。バージェス氏は「ファイブアイズ」と呼ばれる枠組みで機密情報を共有する米英豪、カナダ、ニュージーランド5カ国が「脅威」に直面していると指摘した。
 これに対し、中国外務省の報道官は「豪当局者が虚偽の情報を流布している。断固反対する」と反発した。 
〔写真説明〕オーストラリアの情報機関「保安情報機構(ASIO)」のバージェス長官=8月26日、キャンベラ(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)