マンション居住者の在宅避難は災害時の全体最適を実現する社会貢献(写真:Adobe stock)
 

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部

教授
 

鍵屋一

 

 

1956年秋田県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、板橋区役所入区。福祉部長、危機管理担当部長(兼務)などを経て2015年3月退職。同年4月から跡見学園女子大学観光コミュニティ学部コミュニティデザイン学科教授、法政大学大学院、名古屋大学大学院等の兼任講師を務める。有識者会議として内閣府「避難所の役割に関する検討委員会」座長、「地域で津波に備える地区防災計画策定検討会」委員、「防災スペシャリスト養成企画検討会」委員などを歴任。(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事。


2026年注視すべきリスク                     

1位:社員の自助、特に都市部マンション居住者
2位:オフィスでの避難生活、特にトイレ

                                     

企業の課題と対策

南海トラフ地震や首都直下地震の発生が危惧される中、都市型住宅の代表格であるマンション(賃貸住宅、公営住宅等の中高層住宅を含む)防災は極めて重要だ。

マンションは構造的に堅牢であることが多く、そんなに難しくない一定の備えがあれば被災後も住み続けられる可能性が高い。

仮に、大災害時でもマンション居住者の大部分が1週間程度の在宅避難ができたとしよう。すると、初動期の社会の混乱を軽減し、避難所等の過密状態を軽減することが可能。これにより高齢者や障がい者など避難生活が困難な人々へ医療、保健、福祉などの支援リソースを集中できる。

また、マンションで安全に暮らすことができれば、居住者の多くを占める働き手が企業、行政に出社してBCP、復旧復興の担い手となれる。すなわち、マンション居住者が在宅避難することは、災害時の全体最適を実現する社会貢献である。したがって、企業としては社員がマンションに住み続けられるよう、情報提供、福利厚生費による物資支援など自助努力の背中を押すことが重要だ。