【ワシントン、サンパウロ時事】トランプ米政権による南米ベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領拘束から3日で1カ月。トランプ政権はその後もデンマーク自治領グリーンランドの領有やキューバの体制転換を模索するなど、南北米大陸を中心とした「西半球」を支配する野心をむき出しにしている。一方、ベネズエラではロドリゲス暫定大統領が安定した政権運営を見せている。
 「事態が収束した今、ベネズエラ指導部に感謝を述べたい。われわれは彼らと非常に良好な関係を築いている」。トランプ大統領は1月29日の閣議でこう胸を張った。
 昨年のノーベル平和賞を受賞したベネズエラ野党指導者のマリア・マチャド氏は「民主主義への移行が必要」と早期の大統領選実施を訴えた。しかし、トランプ氏の関心は石油利権の確保にある。世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラへの投資を米石油大手各社首脳に求めており、暫定政権との関係強化を優先している。
 ベネズエラのロドリゲス氏もトランプ氏の意向に沿いながら、暫定政権を混乱なく発足させた。石油産業の国家統制を緩和し、外国資本の投資を誘致する法律を成立させたほか、一部の政治犯を釈放。強権的だったマドゥロ氏とは異なる融和姿勢を示している。
 トランプ政権はベネズエラにとどまらず、西半球全体を支配する野心を隠そうとしていない。1月23日に公表した「国家防衛戦略」でも、西半球での国益確保を本土防衛と同列に位置付けた。
 トランプ氏はグリーンランドを「安全保障上、米国が領有する必要がある」と主張し、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する同盟国の主権をも軽視する姿勢を鮮明にした。さらに、共産党政権が続くキューバへの圧力を強化し、キューバへの石油輸出国に追加関税を表明した。メキシコの麻薬カルテルへの軍事行動を示唆し、カナダへの追加関税も打ち出すなど、西半球の国々への威圧は強まるばかりだ。
 軍事力や経済力を背景に脅す手法は、周辺国や同盟国の不信感も招いている。カナダのカーニー首相は1月20日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の演説で「多くの国が同じ結論に至っている。エネルギー、食料、重要鉱物、金融、サプライチェーン(供給網)について、より強力な戦略的自律性を確立しなければならない」と米国への警戒感をあらわにした。 
〔写真説明〕トランプ米大統領=1月30日、ワシントン(EPA時事)
〔写真説明〕米石油企業幹部らとの会合で話すトランプ米大統領=1月9日、ワシントン(AFP時事)
〔写真説明〕ベネズエラのロドリゲス暫定大統領=1月29日、カラカス(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)