2018/11/30
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
正しい知識で「流してしまえ!」を防ぐ
ところで、配管を確認してから流すとありますが、配管ってどうやって確認したらいいのでしょう?
厳密には専門業者の点検が必要ですが、マンションや家族の話し合いに活かせるグッズも出ています。
その名も下水チェッカー「通る君」
溶けるボールと石灰水の色水がセットになっています。これをマンションでも一戸建てでも上層階からトイレに流します。途中でなくなったりせず、汚水枡までちゃんと流れてくれば大きな配管の損傷がないことが確認できます。

そこで、皆さんで話し合いをするきっかけにします。ひび割れなど、小さな傷まで確認できるわけではないので、あくまで話し合いのための道具です。話し合って合意できているなら賠償請求されずに済みます。
災害用トイレの備蓄と同時にこのようなグッズもあることを知っておいてくださいね!
そして、国土交通省のマンガのページですが、印刷フリーです。マンホールトイレの設置の仕方や説明も書いていますので、みなさんのマンションやご家族の話し合いに役立てていただければと思います。
豪雨の際、なかなか皆さん、逃げる、という決断ができないことが問題になっていますよね。情報不足で危険を認識できないとか、まわりが逃げないと自分だけで逃げられない国民性だとか、正常性バイアスとか、いろいろ分析されています。
ところがです。防災講座を実施していて気づいたのですが、なぜだか、皆さんトイレを流すことについてはむちゃくちゃ決断が早いです。目の前から汚物をどうしても消し去りたいという願望?を前にすると、豪雨避難の際に、あれほど見せていたまわりを気遣う配慮はあまりみられず、階下に影響があるかもとしれないということをたとえ知っていたとしても、「いいや流してしまえ!」と決断したがる方が結構いらっしゃるみたいなんですけど・・。一体何故なんでしょう?
考えてみたのですが、以下は、科学的ではない全く勝手な妄想です。トイレという空間はあれこれしがらみが多い現代人に許された、数少ない自己決定が許される場なのではないでしょうか?それゆえ、誰になんと言われようともトイレだけは好きにさせてくれ・・みたいな気持ちになりがちではないかと思ったのですが、どうなのでしょうね?ちょっとそれも寂しい気もしますけど・・・。
ということで、早期避難ではなかなか見られないほどの強い決断力をみせる、「流してしまえ!」という欲求を抑えるためにも、ぜひ、みなさんで国土交通省のマンガや動画をシェアしていただければと思います。
そして、お住まいの地域の自治体情報が古ければ、改めるよう教えてあげてください!大災害でまだまだトイレに水を流してはいけないって知られていないと感じています!
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月10日配信アーカイブ】
【1月10日配信で取り上げた話題】2023年のリスクを読む
2023/01/17
-
豪雪をもたらす寒波――1月の気象災害――
2005(平成17)年12月は極東域に強い寒気が南下し、日本列島は相次ぐ寒波に見舞われた。東日本と西日本では、12月の月平均気温が戦後最も低くなった。また、日本海側では記録的な大雪となった。その傾向は2006(平成18)年1月以降も続き、日本海側の山間部では大雪となる日がたびたび現れた。新潟県津南町で2月5日に最深積雪416センチメートルを記録するなど、多くの地点で積雪深の最大記録を更新した。このため、除雪や屋根の雪下ろし等の作業中の落雪や転落などの事故による死傷者が多数発生するなどの人的被害があったほか、家屋の損傷、交通障害、停電などの被害が多発した。気象庁は、2006年3月1日、前年12月からの一連の大雪を「平成18年豪雪」と命名すると発表した。今回は、この豪雪をもたらした寒波について解説する。
2023/01/15
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方