1.ペット同伴入院やペット連れ面会の課題と対策

日本には7629の有床病院があるが、各市町に1つでも、ペット同伴入院やペット連れ面会ができる施設を持つ指定病院ができると、新たな保護や殺処分対象にならずにすむと思う。

■平成28年医療施設(動態)調査・病院報告の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/16/dl/gaikyo.pdf

動物が病院に入るなんて不衛生だと医学的な検査もせずに決めつけている方もいるかもしれないが、「ATPふき取り検査」を行うことで、ペット同伴入院やペット連れ面会を前提とした院内環境を実現するための入院環境検査、ME機器の清浄度チェック、入院施設衛生管理等が明確になり、洗浄評価として結果を数値で管理することができる。

ATPふき取り検査を導入することにより、アデノシン三リン酸(=ATP量)という、全ての動物、植物、微生物などの生命体中に存在する化学物質が判明し、ATPの数値を測定することで環境表面や汚れ(汚染度)を測定し、入院施設の環境清掃や衛生を保つことができる。

■医療現場向けATPふき取り検査(A3法)
http://biochemifa.kikkoman.co.jp/products/kit/atpamp/iryou/top.html

ただ衛生面がクリアできても看護師や医師などに吠えたり噛みつく恐れのある動物の場合もあろう。その場合はペット同伴入院は難しいとしても、どこかの団体に預かってもらい、週に何度かでも入院している飼い主に会えるようなやペット連れ面会場所(ペットミーティングルーム)が病院にもできてもいいと思う。

2.いつも一緒に居るペットに会えないができないことで生じるストレス

私を含めて、ペットを「家族」ととらえている人たちは、ペットを家族として共に生活を豊かにし、限られた命あるものとして、心を交わし合う存在として認め合う関係を築いている。それゆえ、家族である伴侶動物と離れて過ごす入院生活は、闘病やけがの治療のつらさに悲しみや寂しさが心の痛みとなる時間となってしまう。

自分の愛するペットと離れて入院するのは、飼い主の病状も悪化する可能性もあると同時に、ペット側も飼い主がいない生活は、寂しさからのストレスで心の病になるかもしれない。

飼い主が自宅療養できる病気やけがであれば、誰かに散歩や生活のサポートを頼めるかもしれないが、入院しなければならなくなったとき、ペットをどうするべきだろうか?

飼い主はもちろん、医療関係者や病院関係者は環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の一般原則に従い、「終生飼養」を全うするためにも災害時のペット同伴避難と同様にペット同伴入院やペット連れ面会も具体的に対策できないだろうか?

また、総務省消防庁も一人暮らしで身寄りの無い救急患者とペットを一緒に同伴搬送する必要がある場合は、ペットを放置することのないよう、対策を考えておくべきでは無いだろうか?

■家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_h25_82.pdf

以下は基準の抜粋である。

第1 一般原則
1 家庭動物等の所有者又は占有者(以下「所有者等」という。)は、命あるものである家庭動物等の適正な飼養及び保管に責任を負う者として、動物の健康及び安全を保持しつつ、その生態、習性及び生理を理解し、愛情をもって家庭動物等を取り扱うとともに、その所有者は、家庭動物等をその命を終えるまで適切に飼養(以下「終生飼養」という。)するように努めること。

2 所有者等は、人と動物との共生に配慮しつつ、人の生命、身体又は財産を侵害し、 及び生活環境を害することがないよう責任をもって飼養及び保管に努めること。

3 家庭動物等を飼養しようとする者は、飼養に先立って、当該家庭動物等の生態、習性及び生理に関する知識の習得に努めるとともに、将来にわたる飼養の可能性について、住宅環境及び家族構成の変化や飼養する動物の寿命等も考慮に入れ、慎重に判断するなど、終生飼養の責務を果たす上で支障が生じないよう努めること。