2019/01/09
ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるために
3.医療者達の声
イギリスのベテラン看護師達のほとんどは、飼い主と一緒にペットが過ごせるよう、ペット同伴入院やペット連れ面会ができる仕組みを作るべきだという意見を述べている。
また、病院によってはペットが入ることができる場所や時間を決めて、段階的に会うことができたり、入院している飼い主にペットがお見舞いできるようなペットミーティングルームなどの設置が、病状快復へプラス効果を働かせることも述べている。
さらには、ペットのオーナーロス(飼い主不在)のストレス回避にも成るため、入院施設での飼養環境や条件が整えば、ペット同伴入院できるようにした方が患者にとってもペットにとってもお互いの心身に良いことは明らかだとコメントしている。英語だが下記の記事を参照にしてほしい。
■Pets should be allowed to visit their owners in hospital, senior nurses say
https://www.telegraph.co.uk/news/2017/06/21/pets-should-allowed-visit-owners-hospital-senior-nurses-say/
■How to Find Care for Your Pet While How to Find Care for Your Pet While HospitalizedHospitalized
https://www.senioradvisor.com/blog/2017/04/how-to-find-care-for-your-pet-while-hospitalized/
■Why More Hospitals Are Letting Pets Visit Their Sick Owners
http://www.vetstreet.com/our-pet-experts/why-more-hospitals-are-letting-pets-visit-their-sick-owners
もちろん医者や看護師、入院患者の中に動物が苦手な人が居るかもしれないが、千葉県のペット飼養環境調査によると犬が嫌いな人は県民の1割で、動物アレルギーの人も県民の約1割であることなど、基本的に動物が苦手な人はごくわずかではあるが、たとえ1割といえどもそれらの方々への仕組み的配慮、病室における動物の毛の清掃管理や鳴き声を出さない等のルール決めをすることで、ペット同伴入院は部分的にだが、実現できそうな気がする。
■千葉県ペット飼養環境調査
https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/pet/doubutsu/documents/shiyoujittai_kekka.pdf
難しいのは飼い主が多頭飼いしている場合だ。病室に何頭も連れてペット同伴入院やペット連れ面会するのは体力的なものや病気の状態で動物を管理することが困難と予測される。
■東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要(平成29年度)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/horeishiryou/siryou.files/29shiikujittai.pdf
4.ペットがもたらす医療的治療とは違った「心や気の効果」
アメリカのカリフォルニア州ロスアンゼルスこども病院では、病気療養中の子供達が院内のミーティングルームや手術前のベットの上で、トレーニングされたセラピードッグと心を通わすことで、次のような効果をもたらすことを病状が快復したデータにより確認している。
・手術前の不安な気持ちを勇気づけてくれる
・子供の病気に不安を持つ親へのストレス緩和
・医師や病院スタッフへの笑顔や気持ちの緩和
・痛みと闘う子供の心のケア
・血圧、心拍数、呼吸の正常化や痛みの緩和
・抗がん剤治療を行う患者の人生への励まし
・塞ぎがちな性格を持つ子供の心の開放
・病気の回復への期待と希望の向上
など。
CHLA Dog Therapy Program 2017(出典:Youtube)
日本でもYoutubeで「ファシリティードッグ」と検索するとたくさんのビデオを見ることができるが、病院で働く犬たちがもたらす上記のような非薬物的療法の成果は、複数の患者との絆を広め、年間に数千人の人々の心を癒やす貴重な存在になっている。
ファシリティドッグ、知っていますか?神奈川県立こども医療センターのベイリー 2018/01/11 (出典:Youtube)
アメリカでは、病院によって、パーソナルペットビジテーション(Personal Pet Visitation)というペット同伴入院やペット連れ面会プログラムがあるが、どんな犬でも病室に入れるわけでは無く、医師や病院スタッフによって、トイレをトイレシートにできること、吠えない・飛びつかない・噛みつかないなどのしつけマナー、犬の健康状態管理、犬の病歴やワクチン接種状況、掛かりつけ獣医の同意、厳しく審査されて、一定条件の範囲で許可している。
Rush Pet Visitation Policy(出典:Youtube)
■アメリカ・動物介助療法(Animal Assisted Therapy)のポリシーについて(英語)
https://www.utmb.edu/policies_and_procedures/Non-IHOP/Healthcare_Epidemiology/01.35%20-%20Animal%20Assisted%20Therapy.pdf
■医療介助犬と働く医療機関のプロトコルと環境設定について(英語)
https://www.rcn.org.uk/-/media/royal-college-of-nursing/documents/publications/2018/may/pdf-006909.pdf
もちろん、ペット同伴入院については、医療者にとってさまざまな課題が有るが、ただ、難しいと言って、まったく何もせずにいるのは本当に患者の病状快復を考えているとは思いにくい。
アメリカのように受け入れる条件を決めて、部分的にでも段階的にでも、入院している飼い主とペットが少しの時間でも一緒に居られるペット同伴入院やペット連れ面会の仕組みを作っていただきたいと思う。
(了)
一般社団法人 日本防災教育訓練センター
ペットセーバープログラム
https://petsaver.jp
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