BCMの実力を測るステップも、いよいよ大詰めとなりました。この最終回では、前号で作成した評価レポートをもとに、社長へのBCM活動の報告のポイントと改善計画の手順について説明 します。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2013年9月25日号(Vol.39)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年7月26日)

■BCM活動の報告のポイント 
社長への報告に際してはどのようなことに留意すればよいのでしょうか。一方的、事務的に報告内容を読み上げるだけでは少し物足りないし、そもそも社長の心に響かないでしょう。前号では社長がどのようなところに関心を持って評価レポートを見るのかについて触れましたが、そのポイントは次の2点に整理することができます。

①社長は「良い結果」を期待する 
報告では、緊急時に組織が一丸となって行動し、事業を存続させる態勢ができているかどうかを汲み取ってもらう必要があります。過小あるいは過大な評価はもとより、あいまいな報告の仕方も避けなければなりません。どの活動についてどこまで達成できたか、それが前回設定した目標と比べて良いことなのか、そうでないのかを明確にしてください。 

仮に報告内容 が「好ましくない結果」であっても、きちんとそれをフォローし、改善点としてコミットされていれば、社長は失意を抱くことなく今後の努力に期待を寄せるでしょう。

②社長はBCMに投入された時間とコストの効果を期待する 
どんな社長も、業務活動に費やされた時間とコストについてはシビアな目を持っています。最も典型的な例としては「訓練」に投入された時間や「リスク対策」の費用などに着目するでしょう。これらについて効果をアピールするには次のように工夫するとよいでしょう。 

まず、訓練の場合は「どんな事態に対処するどんな訓練なのか」「その訓練スキルが向上することで得られるメリット」、「その訓練で参加者がどこまで自信をつけたか」を明確に示すことです。典型的なリスク対策費用としては安否確認システムや衛星電話の契約料金などがありますが、これらも、非常時の有効な通信手段、代替手段であることを前置きしたうえで、その費用対効果をアピールします。

報告の結果、社長からさまざまな指摘があることも予想されるので、あらかじめ回答を用意しておくことも必要です(事前に上司や同僚とリハーサルを行って洗い出しておきましょう)。もし社長から何のコメントもなく、「ご苦労さん」の一言で終わったとしたら、報告の仕方や内容について、少し振り返り、反省してみる必要があるかもしれません。