2019/01/16
防災・危機管理ニュース

東京都は16日、今年度の「外国人のための防災訓練」を世田谷区の駒沢オリンピック公園屋内球技場で開催した。都生活文化局によると27大使館とEU(欧州連合)やIAEA(国際原子力機関)など5つの国際機関から58人、一般から71人の計129人の外国人が参加したという。13回目となる今回は初めて知事が出席。企業の展示ブース設置やVR(仮想現実)による災害体験など初の試みが多く取り入れられた。

参加した外国人は心臓マッサージやAEDによる応急救護訓練、起震車による地震体験のほか、東京消防庁の「VR防災体験車」や理経のVR装置による地震や火災の疑似体験などを行った。VRの利用は初の試み。また、NTTドコモやKDDIといった企業によるブースが置かれ、避難所で利用される充電器やWi-Fi装置、災害時に関する取り組みの展示がなされた。NHKワールドJAPANは放送のほか、外国語で利用できる防災アプリの紹介も行った。このほかに初の試みとして日本赤十字社東京都支部によるチキンカレーの炊き出しや、SNS拡散を見込んだ写真撮影スポットの設置、関心のあるものを再度体験するための時間の用意も行われた。

小池百合子知事は冒頭、「現在都内には約55万人の外国人が居住しているが、多くは大きな地震の経験がないだろう」と述べたうえで、2018年の大阪北部地震や北海道胆振東部地震などの災害を振り返った。さらに「首都直下地震が今後30年で70%の確率で起こると言われており、備えないといけない」と注意を喚起。VR装置などを用意していることに触れ、「頭と体、両方で覚えることが大事」と述べた。その後、応急救護訓練やVR防災体験車の視察を行った。
都生活文化局では「在住外国人が増加し、年々訓練の重要性は上がっている」と分析。今後も在住外国人の防災対応への支援を進めていくとしている。
■関連記事「東京消防庁、国内初VR防災体験車」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5871
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
エマージング・リスクにどう備える1組織だけでなく、社会としての対応が必要
エマージング・リスク(emerging risks:新興リスク)と呼ばれる、これまであまり認識されていなくて急に出現するようなリスクへの関心が世界的に高まっている。10月にはエマージング・リスクの国際規格「ISO31050」が発行された。今なぜエマージング・リスクへの関心が高まっているのか、組織はどう対応していけばいいのか、日本リスクマネジメント学会(理事長:亀井克之関西大学教授)関東部会の会合で、会員に聞いた。
2023/12/02
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月28日配信アーカイブ】
【11月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:今こそ学び直す!南海トラフ地震臨時情報 その1
2023/11/28
-
東京都がオールハザード型Step.1を公表
東京都は11月24日、都政BCPを改定した「オールハザード型Step.1」を公表した。これまで主に首都直下地震を想定してきたが、東部低地帯における大規模風水害、島しょ地域での南海トラフ地震による津波被害、火山噴火、中規模な災害など、災害の事象や規模によって対処方法は多岐にわたることなどから、柔軟に対応できるBCPに改定した。これに併せて、被害の実態に即した執行体制を構築することで、災害対応力も一層向上させるという。
2023/11/27
-
南海トラフ地震臨時情報への理解と対応
リスク対策.com はこのほど、気象庁が2019年5月31日から運用を開始している「南海トラフ地震臨時情報」について、企業がどの程度理解し、対応を検討しているかなどを明らかにするため、アンケート調査を実施した。その結果、臨時情報の内容については概ね理解がされているものの、対応について検討したり、具体的な計画を策定している企業は一部にとどまることが明らかになった。
2023/11/26
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月21日配信アーカイブ】
【11月21日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:防災・事業継続力を可視化する
2023/11/21
-
-
従業員の自助力高め現場主導型に運用を転換
大手自動車メーカーの日産(神奈川県横浜市、内田誠社長)は、複雑化する操業リスクにBCPで立ち向かっている。事業再開のベースとなる従業員の自助力の強化に取り組み、継続したロールプレイ訓練で課題を繰り返し洗い出す。懐襟を開いたコミュニケーションでサプライヤーの意欲を高めている。
2023/11/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方