会見だけが危機管理広報ではありません!(出典:写真AC)

リスクマネジメントというと、専門的な用語に聞こえるかもしれませんが、要は、危機を予測し、できるだけその影響を受けない、あるいは影響を小さくする活動です。これに対して、危機が発生したときにダメージを最小限に抑えるための活動をクライシスマネジメントと言いますが、実は、危機の発生直後は、当事者でさえ何が起こっているのか情報を正確に把握できないことが多いものです。たとえば、某食品メーカーで食中毒事件が発生したとき、総務部の社員でさえ、何が起きているのかまったくわからなかったそうです。そこで役に立つのが「危機管理広報」です。

「広報」というと、記者会見を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それだけではありません。当事者の中で何が起きているかを共有するのも、対外的に発信するのも、すべて「危機管理広報」です。私は長年、危機管理広報のあり方を企業の皆さんにお伝えしてきました。危機管理広報がなぜ役に立つのかと言えば、何を守るのか、誰に対して何を伝えるのか、その方針を明確にすることで事態を収束させていくことができるからです。実は、この危機管理広報には、特に初動、つまり危機が発生した際の行動における3つの大原則があります。これを知っておくだけで、皆さんの危機管理の対応は劇的に変わるはずです。