まとめ
1.STARTトリアージ法を応用し、乗務員を含む災害対応関係者全員
  (可能な限りFRを含む)に教育・訓練する。
2.Lateral Trauma Position(右側を下にした外傷側臥位)をファーストレスポンダー全員に教育・訓練する。
3.メインの消防活動隊は、関係機関が現場指揮本部において、一目で全体の被災状況を把握できる ICS(Incident Command System)による集団災害指揮活動マニュアルを作成し、いつでも現場における役割や責任を明確にし、各隊の共通認識のもとに実働できるよう、教育・訓練を行っておく。
4.搬送員、搬送先病院は、傷病者の衣服に付着した航空機燃料による2次災害や傷病者の化学熱傷に配慮し、安全に脱衣を行う。
5.搬送先病院で治療待ちの傷病者をバックボードから下ろして病院側のストレッチャーに移して待機させる。
6.Brace Position、シートベルトなど外傷予防の研究&実施。
7.意識不明者と体重150キロ以上の乗客のシューター脱出が課題。
8.空港外墜落時の出動態勢と部隊フォーメーション&活動手順マニュアル。
9.メディアへの展示訓練の必要性。既存の内容では逆効果だと思う。
10.活動選択肢があ
っての臨機応変。なければ場当たり的活動で終わる。
など

航空機事故は、ひとたび起こると百名単位での死傷者を出す事が予測される、またICAOの安全レポートを読んでいると、大勢の死者を出した事故原因はさまざまだが、航空会社によっては、十分なメンテナンス体制を行っていなかったことやパイロットの若年化による経験不足、また、最新の機体においても、ソフトウェアの不具合による墜落事故なども発生していることから、予防という視点では、海外から日本国内に就航する航空会社の安全評価と許可などの選択基準の必要性も挙げられている。

また警防という視点からは、空港内外における航空機災害対策訓練が、実際に起こる可能性のあるさまざまなシナリオを想定して、関係機関が一体となって具体的に行われているか? と指摘している消防関係者も多い。

オリンピックなどスポーツイベントでは、その国を代表する国民的ヒーローの選手も大勢、航空機を使って来日する。また日本政府は2020年に訪日外国人旅行者数を2015年の約2倍の4000万人と目標を定めており、そのうちの3500万人が空路を利用するものと想定している。

当然、航空交通量も増加することから、羽田都心上空ルート、成田での管制機器 の高度化(広域マルチラテレーションの導入)など、首都圏空港を機能強化(約8万回発着枠増)することにより対応可能と航空関係者は語っている。

また、将来の増大する航空交通量に対応するための航空路空域の上下分離が2025年4月には完了するとのことで、航空管制の場も大きく変化していくなど、これからもますます外国人観光客の増加を目指しているが、安全面もしっかりと体制を備えて、空港施設内外の墜落事故対応訓練を行っておかなければ、国際的な問題につながるのは間違いない。大事故が起こる前に、航空機災害対策の具体的な強化が早急に行われる必要があると思われる。

(了)


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