もう一言。少しくどいですが、お許しください。(被災者に寄り添うために)【熊本地震】(4月17日のFBよりその2)

室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/04/17
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
もう一言。少しくどいですが、お許しください。
留意すべき現状は以下の通りです。被災者をこのまま放置しておけません。「今」どうすればいいか、お教えください。(1週間後のことではありません)
(1)救援物資が、首相の掛け声もあって、熊本市内の倉庫にたくさん届いているのですが、それを仕分けして被災者に届ける人員が、まったく足りません。
(2)給水や給食に、被災者は2時間も3時間も行列をつくる事態が起きています。これまた供給側のサービス能力不足が原因となっています。
(3)喜ばしいことに、応急危険度判定が進みはじめました。安全あるいは要注意と判定された住宅が熊本市内では少なくありません。ただ、家の中がひっくり返っているので、住めません。そこで、中越沖の時のような建築家とボランテイアがセットになった後片付け隊が必要なのですが、ボランテイアは危険だということで、それをしようという動きにはなりません。結果として、被災者任せになっています。ボランテイアに危険なことは被災者にも危険なはずですが、・・・。これまた、人手が足りないからです。
どうすればいいのか? 私が思いつく回答は以下のようなものでしかありません。
(1)被災者の気持ちを無視するというか説得して、被災地外の近傍の地域に、集団避難あるいは疎開避難をしてもらう。そこにボランテイアも救援物資も集中させ、ケアをはかる。
(2)被災者が被災地内にとどまるということであれば、ひとまず物資もボランテイアも安全な被災地外の近傍に集め、配給物資の仕分けをする。物資の集積拠点は、被災地の中に置かない。仕分けしたものは、宅配業者か自衛隊に頼んで被災地内に届けてもらう。一方、経験があるボランテイアは被災地内避難所にいて、配分に協力する。
(3)自衛隊や応援自治体の職員の増員をはかり、住宅内の後片付けを頼む。これが進み、自宅に戻っても給食や給水が受けられるようにすれば、熊本市内の避難所にいる被災者が減少し、少しゆったりした環境がつくられる。
(4)被災地内の避難所を増やして、なんとかゆとりをつくる。避難所を増やすとそれだけ人手がかかるのですが、・・。と同時に、このまま被災者の相互の助け合いと一部の支援者や行政職員などの奮闘に期待する。
以上のようなことしか考えられません。熊本県や熊本市はどうしようとしているのでしょう。とても心配です。
(4月17日FBより)
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