大船渡報告(その3)・・差し込みによる包摂型移転【東日本大震災】(5月21日のFBより)

室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/05/21
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
大船渡報告(その3)・・差し込みによる包摂型移転
大船渡では、21地区の防災集団移転事業、14地区の公営住宅整備事業が行われています。そのうちの、中赤崎の森っ子の集団移転などを除いてほぼ完成していました。今回の訪問では、大船渡市の「超親切なご案内」のおかげで、そのうちの8割にあたる27地区を見せていただきました。
地区ごとにそのすべてを紹介するのは、みなさんの目障りにもなるので、遠慮します。ここでは、住宅再建の全体的な特徴について、紹介させていただきます。
その最も大きな特徴は、防災集団移転も公営住宅整備も、極めて小規模なものが多いということです。10戸未満の防集の敷地は20以上もあります。1戸の敷地もあります。1つの移転事業であっても、敢えて複数の敷地に分割しているからです。
移転住宅を、既存のコミュニティに張り付けるように、あるいは差し込むよ
うに、立地させています。既存のコミュニティを壊さないように、周囲のコミュニティで受け止めれるように、住宅がつくられています。コミュニティ包摂型の高所移転の模範解答を見る思いでした。
明治や昭和の高所移転の経験、それに加えてリアス式の地形が手伝って、海から山へと連続した形で1つのコミュニティが形成されている大船渡の特徴が、山側のコミュニティで被災者を抱き込むという解決を可能としたと思いますが、復興計画委員会の先見性もあってのことと、感服しました。
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