2016/05/24
誌面情報 vol55
そもそもBCPの出発点はIT対策だった。ITBCPの構築支援を手掛ける富士通エフサスシニアBCアドバイザーの小友修氏によると、1960年代にデータ・リカバリー・プランと呼ばれていたものがBCPの前身にあたる。データ・リカバリー・プランは、主に物理的な災害や事故から重要なデータを守るファシリティマネジメントと、費用的な手当てをする保険の2つの考え方から成り立っていた。1970年代から80年代には、より災害にフォーカスをしてディザスター・リカバリープランと呼ばれるようになった。この頃になると緊急対応(エマージェンシー・レスポンス)や、被害後の対応となるCP(コンテンジェンシー・プラン)、ビジネス・リカバリー・プランが含まれた概念になり、1990年代から、この考え方を情報システムだけでなく、広く組織全般に当てはめて「重要な事業を重点的に守る」考え方に発展し、BCPと呼ばれるようになった。欧米では2001年9月11日の米国同時多発テロで、金融系の企業がBCPを発動し、被災した世界貿易センターから代替オフィスに移動して事業を継続したことで大きな脚光を集め、BCPへの取り組みは大企業を中心に一気に加速した。
一方、国内は、内閣府や経済産業省が中心となり、地震対策としてBCPを推進。そのような中で、IT-BCPの概念は、災害に対して重要な情報システムを継続または早期復旧させるための準備態勢として使われるようになり、サイバー攻撃など情報セキュリティの問題とは、必ずしも一体的な議論がされてこなかった。
誌面情報 vol55の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年3月28日配信アーカイブ】
【3月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:内閣府事業継続ガイドラインの改定/ヘルメット努力義務化
2023/03/28
-
-
-
-
組織の垣根を越えるリスクマネジメント活動
住宅建材・設備機器メーカー大手の株式会社LIXILHOUSING TECHNOLOGYは「体系化」「情報」「活動」の3軸をベースにリスクマネジメントを展開。重点活動の一つが、自然災害リスクに対する対応力向上活動です。災害による被害の最小化は住宅建材設備を供給する者の責任と位置付ける同社の取り組みを紹介します。
2023/03/19
-
コカ・コーラにおけるリスクマネジメントERMとリスク対応計画の枠組み
ザ コカ・コーラ カンパニーは、ビジネスにおいて何らかのリスクが発生し悪影響を及ぼす可能性があることを認識し、それらに対処するプロセスを展開しています。日本においても、日本コカ・コーラをはじめ全国のコカ・コーラボトラーズ各社と連携を図っています。包括的企業リスク管理(ERM)プログラムによって、ビジネスに破壊的な影響を及ぼすリスクの軽減戦略を実行すると同時に、ビジネスの機会を積極的に模索しスマートにリスクをとることを可能にしています。取り組みの内容を日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サステナビリティ推進部 リスクマネジメント&クライシスレゾリューション シニアマネジャーの清水 義之さんにご発表いただきました。2023年3月14日開催。
2023/03/16
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方