2012/03/25
事例から学ぶ
震災時にはエレベーターの復旧作業に加え、 「閉じ込め」事故の救出など早急な対応が求められるエレベー ター保守会社。東日本大震災では約 30 万台が地震感知器の動作や停電により停止し、閉じ込め事故も 207 件※発生した。株式会社日立ビルシステム(本社:東京都千代田区)における広域災害対策本部の対応を取材した。
■地震規模と被害状況で出動基準を3分類
3月 11 日の震災発生後、日立ビルシステムでは、 直ぐに本社内に広域災害対策本部を設置。宮城県仙 台市にある東北支社や、茨城県を担当エリアにもつ 東関東支社(千葉県柏市)をはじめ、被災地域の各 営業所も現地対策本部を立ち上げ、被害状況の把握 と閉じ込め救出や復旧作業に奔走した。広域災害対策室の久保田室長は「BCP の策定、震災を想定し た訓練など専任体制で広域災害対応の強化・改善を 推進してきた。そうした取り組みや経験が今回の震 災対応に大きく役立った」と話す。 地震発生時における同社の対応体制(出動基準) は、地震規模と現場の被害状況を判断基準に第一次 ∼第三次の3つに分類されている(表1参照) 。
第一次体制は、震度4の地震で各営業所の担当地 域での復旧が可能と判断された場合であり、営業所 に地区広域災害対策本部を設置して対応する。第二 次体制は、震度5弱で支社全体での対応が必要と判 断された場合であり、支社広域災害対策本部を立ち 上げて対応する。第三次体制として、震度5以上の 地震で、広範囲もしくは局地的に被害が大きい場合 や、担当支社だけでは復旧が困難な状況な場合に、 昇降機保全事業部長の判断により本社に広域災害対 策本部を設置し全社体制で対応することを定めてい る。今回の東日本大震災では、全社体制での対応と なる第三次体制が発令され、被災状況の確認と、同 社の管理するエレベーターでの乗客の救出や復旧作 業などにあたった。
■日常業務の横で対策本部が動く
広域災害対策本部は、本社内のオープンスペース に設置されることになっている。多くの企業では、 会議室などの一室を対策本部室とするのに対し、同 社の対策本部は、日常業務の活動フロアの一画に、 衝立で仕切った開放的な空間に設置される。
「対策 本部のすぐ横で多くの社員が業務を行っているの で、情報収集や作業の指示など各部署との連携が行 いやすい」と久保田氏はその理由を話す。対策本部には、ホワイトボード、帰宅支援マップ、被災地域 周辺地図、ラジオ付き懐中電灯、MCA 無線機など、 緊急対応に必要なモノがすべて席から手に届きやすい位置に配置されている。さらに、円滑にコミュニ ケーションができるよう同フロアのレイアウトと各 部署の所属長の座席位置が記された配置図が置かれ るなどの、様々な工夫もされている。今回の震災で は、対策本部は、3 月いっぱいは 24 時間体制をとる とともに、 各部門長の定例ミーティング(朝夕 2 回、 4 月末まで継続)で全社的な情報の共有化を図った。
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