緊急避難時のルート、および、待避場所の選択について

1、普段の管轄把握訓練時に紙の地図とスマホの両方を使ったルート把握を行っておくこと。GPSは便利であるが、山中の場所によっては電波障害地域などもあり、また、高圧線の電磁波により正常に機能しないこともある。紙の地図は防水かラミネート加工されているのものなど、できるだけ、あらゆる現場環境に耐えると思われる地図を選ぶこと。

出典:State of California

2、災害対策本部と消防活動隊は同じ地図を使うこと。地図の発行年度が異なると避難ルートが違うこともある。

3、現場に向かう時のルートは多くの場合、避難ルートになることもあるが、状況変化によって、そうでないこともあるため、来た道を逃げるという単純なルート選択は行わないこと。また、活動場所への移動途上中は、常に活動環境の状況把握に努め、活動部隊全員で情報をシェアすること。特に若手隊員にとっては、緊急避難時のルート選択や避難場所の見極めに役立つ。

4、チムニーやサドルと呼ばれる麓から山頂までの浅い谷になっているところなど、山の斜面が谷状になっているところは、火炎ガスが上昇しやすいため、避難ルートから避けること。ただし、十分に広く、水が豊富で砂浜があるような渓谷になっているところは 集結場所として使える。

出典:Fire Shelter
出典:Fire Shelter

5、車が通れる国道などの公道は、斜面に崖崩れ防止ネットなどが施してあるため、樹木の成長は少なく、比較的、延焼の危険は少ないが、活動車両や避難する車が通る可能性があるため、煙が漂っている時には交通事故に中止すること。

出典:Fire Shelter

6、広大な岩肌や石の傾斜面は、有効なセーフティーゾーンの候補地になり得るが、石が小さな砂利の場合、掴まる樹木が少なく、足を滑らせて転落しやすいこと。また、石が大きい場合は、鋭利な石もあるため、怪我に気をつけること。

出典:Fire Shelter

7、草が少なく、背も低い場合は、避難時、地面に伏せた際の呼吸が楽であるが、草の背が高く、多い場合、また、枯れているときは、飛び火によって着火しやすく、延焼速度も早くなるため、そのようなエリアを避難場所に選ばない方が良い。

出典:Fire Shelter

8、火災現場本部エリアでの避難については、場合によっては車を用いた避難も有効であるが、避難途中、火炎ガスが一気に立ち上ってきたときには避難が遅れ、車内で蒸し焼きになってしまうこともあるため、注意すること。また、車の下に潜るのが安全と思う人がいるが、実はかえって危険であることも覚えておくこと。

出典:Cal Fire

9、造成地など既存の伐採エリアはセーフティーゾーンとして有効になることが多い。また、防火帯として、すでに燃やして飛び火を防いだエリアも避難場所として使える。ただし、防火帯も燃やしてすぐは、熱が滞留しており、燻っていることもあるため、煤になって冷えた場所を選ぶこと。

などなど。。