2012/07/25
誌面情報 vol32
指揮官の役割にフォーカス
オ リンピックの開催を前に、意外なものが売れている。日本ではお馴染みの防災グッズだ。ロンドン市内では、大量の観光客によって交通網が麻痺し、従業員が家 に帰れなくなることなどを心配して、ここ数カ月、需要が高まっているという。ロンドン市内にある防災グッズ専門店を訪ねた。
2005 年から防災グッズの専門店evaQ8(ロンドン市内)を営んでいるZaid al-Muftiさんは、「これまで事故や災害に対して準備していなかったような企業が、オリンピックに備えて急に防災グッズを買い始めた」と語る。そも そも、イギリスは日本やアメリカに比べ自然災害が少ない。同社が開業した2005年当時は、似たようなビジネスモデルは国内ではほとんどなかったという。
それでも、ここ数年はテロや、洪水、大雪などへの危機感から、次第に防災グッズが注目を集めるようになってきた。そこに火をつけたのが今回のオリンピックというわけだ。
政府やオリンピック機関では、各企業に対して鉄道や車道の混雑に備え事業継続の対策を講じることを呼びかけている。こうしたことも、防災意識を高めている背景にはある。
同社が扱う商品は、非常食や、懐中電灯、携帯ラジオ、アルミブランケット、笛、防災トイレ、救護用品など、日本でもお馴染みのものが多い。が、特徴としてはメガホンや蛍光色の腕章、発光スティックなど災害現場の指揮官向け製品が充実している。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/670m/img_a62e16121f47e93294fb64b756a2d8d9145840.png)
食品では、ふたを開けると自然に発熱するセルフヒーティングが人気だという。商品の価格帯はさまざまだが、発熱タイプのチリビーンズ(400キロカロリ)が 3.3ポンド(約430円)、6∼8人用のフリーズドライ食が30−40ポンド(3900円―5200円)と、それほど高くはない。
現在は、8割の取引先が企業や自治体などのビジネスユーザー。アメリカや日本から取り寄せた製品も多く、顧客の要望にあわせてキット化して販売している。
同社は、昨年60万ポンド(約7800万円)を売り上げたが、Zaidさんは、近年中には100万ポンド(約1億3000万円)まで売上を伸ばしたいとしている。
誌面情報 vol32の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方