2019/10/15
安心、それが最大の敵だ
最悪の場合人減らしも
飢饉は長期にわたることが一つの特徴であり、「飢饉は2年続く」との言い伝えもある。農民の栄養状態が悪化し、疫病が流行して飢えのために種もみさえ食いつぶすばかりか、翌年は労働力の投下が著しく不足して作柄が悪くなるからである。
飢饉は重大な社会問題であるから、当然、為政者による荒政という対策がとられる。「荒」とは漢籍(漢語)で飢饉を一字に略するときに用いる。飢饉の年を荒歳、飢饉に備える政治を荒政といい、作物が実らず飢饉になったことを凶荒と言った。したがって、飢饉の困苦を助け救う植物を救荒植物もしくは救荒本草と言ったのである。
飢饉によって、もう一つ社会的に重大かつ深刻な影響を受けるのは人口の減少で、餓死者の他、出生率の低下がある。青年男女と共に飢饉の年には栄養も悪く元気がないから、その間に生まれる新生児も少なくなる。加うるに社会不安が重なって赤子を生むのを控えるようになる。世に知られた飢饉の後の誕生児数は極端に少なくなって、これに人口の低落に拍車をかける。同時に飢饉の年の後には、堕胎とか間引き(いずれも子殺し)という悪習がまん延した。人倫に反したこうした風習も一つには飢饉と言う不可避な厄災が持たらした結果であって、豊かな食糧の存在が人道上もいかに不可欠かを知ることができる。
- keyword
- 安心、それが最大の敵だ
- 凶作
- 飢饉
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方