写真を拡大 被災地のニーズを把握し、素早く支援する(出典:ヤフーニュースリリース)

相次ぐ災害とサステナビリティ

発足以降、2018年は西日本豪雨(平成30年7月豪雨)、北海道胆振東部地震、今年は佐賀県を中心とした九州北部の豪雨と台風15号・19号と立て続けに活動している。西日本豪雨では飲料水約2万7000リットル、約1万3000着の衣類、タオル約3600枚、衛生用品約2万人分などの支援を、ヒアリングしたうえで行っている。

台風19号では事務局は祝日の14日から稼働。先遣隊はまず長野市に入り、16日には早くも長野市にアダストリアから防寒着としてアウターとニットのセットを600セット、グンゼから下着が計4010着、いずみから女性用下着1451着と子ども用下着251着が届けられた。17日にも福助から靴下が提供。さらに宮城県丸森町へも同日から物資が届けられている。

SEMAでは多忙な中でも現在進行形で改善も進めている。被災地に入る市民団体の先遣隊との電話やメッセンジャーでのやりとりについても、他の手段も使ったうえで、普段から使い慣れていてスムーズにできるものに収れんした。事務局での連絡手段もホワイトボードから、チャットのSlack(スラック)やクラウドツールに変更していったという。事務局の人員も当初の3人から5人に増員。災害直後など多忙な時はヤフーのCSR推進室から人的支援を仰ぐこともある。

今後はより支援の幅を広げたいとしつつ、課題として大きな被害が見込まれる首都直下地震や南海トラフ地震への対応がある。首都直下地震は特に企業のほとんどが本社を置く東京が被害を受けることになるため、対策は急がれる。また、活動を持続していくことも重要。現在、企業はCSRの範囲内により無償で協力はしているものの、災害が相次ぎ、物資を提供しきれないケースもあり、課題解決に迫られているという。

安田氏は「SEMAの存在意義は大きくなってきている」とし、今後の活動継続と改善に意欲をみせた。首都直下地震対策の他、災害が相次いでおり活動のサステナビリティは大事になる。安田氏は「防災科学技術研究所が中心に整備するSIP4D(府省庁連携防災情報共有システム)などが活用できれば、省力化やコスト削減にもつながっていく」としているが、日本のICTをリードしてきたヤフーらしい先端的な取り組みによる支援やサステナビリティ向上も今後さらに期待される。

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(了)