■ 中国人の基本は「率直」

日本で長らく生活したことのある中国人から、こんな話を聞いたことがあります。

中国語教室の講師をしていた彼は、ある授業中に1人の生徒から以下のような質問を受けたそうです。

「先生、少し寒くないですか?」と。

このとき彼は率直に「いや、そんな寒くないよ」と答えたそうなのです。しかし、質問をした生徒はその回答に納得がいかないような表情を見せたのですが、当時の講師である彼にはその質問の背後の意図が理解できなかったため、そのまま授業を進めてしまったとのことなのです。

日本人であればこの状況を聞いて中国人の彼がKY(空気が読めない)人だと理解することでしょう。しかし日本人の「無言の主張」、言外にて自己主張する習慣が理解できない外国人からすれば、相手の本来の意図を理解してあげられなかったという、なんとも後味の悪い結果となってしまうのです。

では、立場を逆転して考えてみましょう。

上記のような日本ならではの習慣に慣れた日本人が中国で生活し始めると途端にストレスがたまってしまうということが多々あるのです。

賃貸で入居したアパートのさまざまな問題も、言葉や習慣の違いから、「改善してほしい!」と強く自己主張できずに過ごしてしまうと、家主である中国人や不動産業者は何も問題ない「没問題」なのだと理解し、自ら何もしてくれることはありません。

なぜなら、中国人であれば「あれも、これも、全部換えてくれ!」というくらいに主張してくるのに、「日本人は我慢強いな」とか「意外と要望が少ない人たちなのだな」で終わってしまうのです。だから中国ではどこでも日本人がアパートを借りてくれるとなると、どこでもウエルカムだと言うのです。家賃はしっかり払うし、文句は少ないし、ということで。

しかし、このような姿勢では中国ビジネスはうまくいきません。

感じたこと、やってほしいこと、好きなこと嫌なこと、全て中国人同様「率直」にハッキリと伝えましょう。これで、大半の経営リスクがなくなることは間違いありません。

(了)