2019/11/15
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 中国人の基本は「率直」
日本で長らく生活したことのある中国人から、こんな話を聞いたことがあります。
中国語教室の講師をしていた彼は、ある授業中に1人の生徒から以下のような質問を受けたそうです。
「先生、少し寒くないですか?」と。
このとき彼は率直に「いや、そんな寒くないよ」と答えたそうなのです。しかし、質問をした生徒はその回答に納得がいかないような表情を見せたのですが、当時の講師である彼にはその質問の背後の意図が理解できなかったため、そのまま授業を進めてしまったとのことなのです。
日本人であればこの状況を聞いて中国人の彼がKY(空気が読めない)人だと理解することでしょう。しかし日本人の「無言の主張」、言外にて自己主張する習慣が理解できない外国人からすれば、相手の本来の意図を理解してあげられなかったという、なんとも後味の悪い結果となってしまうのです。
では、立場を逆転して考えてみましょう。
上記のような日本ならではの習慣に慣れた日本人が中国で生活し始めると途端にストレスがたまってしまうということが多々あるのです。
賃貸で入居したアパートのさまざまな問題も、言葉や習慣の違いから、「改善してほしい!」と強く自己主張できずに過ごしてしまうと、家主である中国人や不動産業者は何も問題ない「没問題」なのだと理解し、自ら何もしてくれることはありません。
なぜなら、中国人であれば「あれも、これも、全部換えてくれ!」というくらいに主張してくるのに、「日本人は我慢強いな」とか「意外と要望が少ない人たちなのだな」で終わってしまうのです。だから中国ではどこでも日本人がアパートを借りてくれるとなると、どこでもウエルカムだと言うのです。家賃はしっかり払うし、文句は少ないし、ということで。
しかし、このような姿勢では中国ビジネスはうまくいきません。
感じたこと、やってほしいこと、好きなこと嫌なこと、全て中国人同様「率直」にハッキリと伝えましょう。これで、大半の経営リスクがなくなることは間違いありません。
(了)
日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方