融雪はこんなに怖い―12月の気象災害―
積雪期の気温上昇は土砂災害にも注意
永澤 義嗣
1952年札幌市生まれ。1975年気象大学校卒業。網走地方気象台を皮切りに、札幌管区気象台、気象庁予報部、気象研究所などで勤務。気象庁予報第一班長、札幌管区気象台予報課長、気象庁防災気象官、気象庁主任予報官、旭川地方気象台長、高松地方気象台長などを歴任。2012年気象庁を定年退職。気象予報士(登録番号第296号)。著書に「気象予報と防災―予報官の道」(中公新書2018年)など多数。
2019/12/02
気象予報の観点から見た防災のポイント
永澤 義嗣
1952年札幌市生まれ。1975年気象大学校卒業。網走地方気象台を皮切りに、札幌管区気象台、気象庁予報部、気象研究所などで勤務。気象庁予報第一班長、札幌管区気象台予報課長、気象庁防災気象官、気象庁主任予報官、旭川地方気象台長、高松地方気象台長などを歴任。2012年気象庁を定年退職。気象予報士(登録番号第296号)。著書に「気象予報と防災―予報官の道」(中公新書2018年)など多数。
土石流が突然襲い、作業員14人の命が奪われた。1996年12月6日午前10時30分ごろ、長野・新潟県境に位置する蒲原沢(がまはらざわ、一級河川姫川の支流、図1)での出来事である。当時、蒲原沢では、前年7月の豪雨による土砂災害の復旧工事が行われていた。その作業現場を土石流が襲ったのである。
当時、筆者は東京大手町の気象庁本庁で予報官という職にあり、関東甲信地方の予報を担当していた。5日夕刻から夜勤当番に就き、6日朝、勤務を終えた直後に災害は発生した。蒲原沢は、予報担当領域の境界線上にある。
冬季の土石流は珍しい。土石流は大雨によるものが圧倒的に多い。だから、蒲原沢で土石流が発生したと聞いたとき、筆者は「どうして?」と思った。
表1と図2に、災害現場に近いアメダス観測点の観測値を示す。6日9時までの前48時間雨量は、小谷(おたり、長野県小谷村、標高550メートル)で49ミリメートル、平岩(新潟県糸魚川市、標高260メートル)で42ミリメートルであった。いずれも、土石流を引き起こすような雨量ではない。
だが当時、現場付近には積雪があった。積雪が存在すると何が違うのか。それを考える前に、数日前からの気象経過を振り返ってみる。
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