1996年に発生した蒲原沢土石流災害の慰霊碑(筆者撮影)

土石流が突然襲い、作業員14人の命が奪われた。1996年12月6日午前10時30分ごろ、長野・新潟県境に位置する蒲原沢(がまはらざわ、一級河川姫川の支流、図1)での出来事である。当時、蒲原沢では、前年7月の豪雨による土砂災害の復旧工事が行われていた。その作業現場を土石流が襲ったのである。

写真を拡大 図1(国土地理院電子国土Webの地図に加筆)

冬季に土石流がなぜ起きた?

当時、筆者は東京大手町の気象庁本庁で予報官という職にあり、関東甲信地方の予報を担当していた。5日夕刻から夜勤当番に就き、6日朝、勤務を終えた直後に災害は発生した。蒲原沢は、予報担当領域の境界線上にある。

冬季の土石流は珍しい。土石流は大雨によるものが圧倒的に多い。だから、蒲原沢で土石流が発生したと聞いたとき、筆者は「どうして?」と思った。

表1と図2に、災害現場に近いアメダス観測点の観測値を示す。6日9時までの前48時間雨量は、小谷(おたり、長野県小谷村、標高550メートル)で49ミリメートル、平岩(新潟県糸魚川市、標高260メートル)で42ミリメートルであった。いずれも、土石流を引き起こすような雨量ではない。

だが当時、現場付近には積雪があった。積雪が存在すると何が違うのか。それを考える前に、数日前からの気象経過を振り返ってみる。

ログイン

この記事は会員限定です。続きは、「リスク対策.com」に会員登録(無料)されている方がご覧いただけます。まだご登録されていない方は、会員登録をお願いいたします。ご登録済みの方は、ご登録時に入力されたメールアドレスとパスワードを入力してログインしてください。

» 新規会員登録(無料)はこちらから

» パスワードをお忘れの方