2020/01/08
知られていない感染病の脅威
中国、東南アジア、南アジアの監視が必要
ハノイ市などベトナム北部も亜熱帯に属しますが、季節性インフルエンザの流行は起きています。1~2月の気候は、ベトナム人には寒いようで、手袋やマフラー着用など防寒対策を取っている人たちが多く見受けられます。筆者たちにとっては涼しく、寒さはあまり感じられない程度でしたが。寒さに対する感覚は、ベトナム人と日本人ではかなり大きな差があるようです。この時期にベトナムではインフルエンザが流行する傾向が見られます。
一方、最初中国に出現したH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザは、中国やベトナムなどの東南アジア、南アジアにおいて、H5N1ウイルスはN亜型を変えながら、20年間以上にわたって猛威を振るい続けています。また中国では、H7N9亜型ウイルス感染による人の鳥インフルエンザが、2013年以来継続して猛威を振るっています(この2年間発生は起きていませんが)。従って、次の新型インフルエンザウイルスが生まれる場所としては、中国、ベトナムなどの東南アジア、南アジア以上に可能性の高い地域はないと筆者たちは考えています。
今、人の世界で流行しているA型インフルエンザウイルスは、香港風邪型のH3N2亜型と、2009年に出現したH1N1亜型のウイルスの2種類に限られています。一方、鳥インフルエンザウイルスは、計算上HA16種類とNA9種類のすべての組み合わせが存在します。近い将来、どのような亜型の新型インフルエンザウイルスが出現するのか分かっていません。H5N1あるいはH7N9亜型ウイルスの他、いくつかの亜型の鳥インフルエンザウイルスが、次の新型インフルエンザウイルスに深く関与するのではないかと注目されています。どの鳥インフルエンザウイルスが関与するのか、筆者たちは東南アジアのベトナムにおける鳥インフルエンザウイルスの生態を注目しながら、引き続き監視しています。
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方