2020/01/28
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
(3)雨量情報は答え合わせと行動補正の道具として使える
雨量に関する3つ目の使い方を簡単に言うと、「予測と実況に食い違いがないか雨量情報で答えを合わせ、もし食い違っているのであれば実況に基づいて行動を変えていく」というものになります。雨雲の動きをチェックするツールも使うとより確実ですが、予測されていない事態や予測よりも悪い事態が起こっていないか監視するために雨量の情報を使っていきましょうと言うものです。
この使い方はあまり一般的ではないかもしれません。私も民間気象会社に入って気象情報を自治体などに提供する側に立った時に初めて体験的に学んだ使い方です。
予報を出す側の内輪話のようなものですが、量的な予測は時に大きく外れます。1時間に多くても50-60ミリ程度だろうと事前に予測していていても、実際には倍程度降ることも決して珍しいことではありません。場合によっては数ミリ程度しか降らないとピンポイントな天気予報で表示されているのに、蓋を開けたら100ミリを超える大雨になったということもあり得る話です。気象庁も大雨注意報や大雨警報などの情報の中で1時間最大雨量の見込みを伝えますが、その見込みを上回るような雨量になることもよく目にします。
インターネットを使えば、気象庁のアメダスで観測された雨量や都道府県などの雨量計で観測された雨量を容易に確認できます。そうして得た情報で予測どおりに事が運んでいるか答え合わせを行い、悪くなる兆しが見えた段階で必要に応じて行動を変えたり、体制を強化したりすることが求められます。
心の準備用、非常ベル用、答え合わせ・行動補正用
今回の記事では、「心の準備用」、「非常ベル用」、「答え合わせ・行動補正用」という3つの切り口で雨量の使い方をご紹介してきました。もちろん、ある雨量に対してどれか一つだけの使い方しかできないというわけではありません。例えば観測された雨量などは、非常ベルとしても、答え合わせ・行動補正用としても使える情報です。何れにせよ、雨量の情報を漠然と見ているだけではせっかくの情報を役立てる事ができないため、「この雨量はどう使えば良いか」ということについて考えながら雨量の情報をぜひ見ていただければと思います。
(了)
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