2020/01/28
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
(1)雨量情報は心の準備情報として使える
気象情報には雨量の見込みが頻繁に現れることは冒頭でも述べました。水害の場合は、「何か大きな災害を引き起こしかねない量の大雨が降るかもしれない」という情報がある程度事前に伝えられます。特に、台風や前線が停滞するといった場合、比較的早い段階から雨量の見込みに関する情報が提供されます。そうした雨量は、例えば「災害発生への警戒を高める」、「すぐに動けるように心の準備や事前の準備を行っておく」、「継続的な情報収集ができる体制を構築する」などに利用できます。
雨量の見込みに関する情報の例として、令和元年の台風19号が接近していた時に出された資料を振り返ってみましょう。次の図は台風19号接近に先立って10月11日に行われた気象庁の報道発表資料からの抜粋です。
この気象庁の資料では、「東日本を中心に、狩野川台風に匹敵する、記録的な大雨」となる見込みが伝えられ、12日正午・13日正午までの24時間雨量の予測がそれぞれの地域ごとに提供されていました。雨量を示した表(図の下部)の一部はわざわざ赤色で示されています(北陸、関東甲信、東海の13日12時までの24時間雨量の部分)。これは、その雨量の深刻さを強調したかったからだと思います。こうした雨量によって示された情報が持つ意味を理解できるようになると、早めに心の準備を行っておくことができるのです。
(2)雨量情報は非常ベルとして使える
雨量の情報は、一刻を争うような事態が起こっているということを示す非常ベルとしても利用できます。「これまでに何ミリを観測したか」という雨量のデータはもちろん、「今後さらに何ミリ見込まれるか」などの雨量の予測も非常ベルの役割を果たします。
また、観測された雨量を基に発表される情報も非常ベルになります。一つの例は、大雨の際に気象関連のニュースなどで出てくる「観測史上1位の雨」といった表現です。実例として次の動画をご覧になってみてください。後に西日本豪雨と呼ばれるようになった雨を伝える当時の報道です。このニュースの中でも、観測史上最大を記録した地点が紹介されていました。
テレビ朝日ANNnewsCH、「大雨特別警報発表中 記録的大雨に最大級の警戒を(18/07/07)」
https://www.youtube.com/watch?v=hTYt7zIUYvk
地域で観測史上最大の雨となっているという情報は単なる記録更新を伝えるニュースではありません。観測史上の上位に食い込んでくるような雨量に見舞われると、一般的に言ってその地域で何らかの被害が発生している可能性があります。観測史上と比較して雨量が伝えられる場合も、非常ベルが鳴っているものと受け止めて対応していく事が望まれます。
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