地震の大きな揺れに見舞われた際、そのときに我々ができることは非常に限られています。しかし、その大きな揺れがおさまったあとにやるべきことは、余震から命を守るとともに、その後の復旧のために重要な意味があります。今回は、地震後の初動対応について考えます。

初動対応編その1 地震後の初動対応

大きな揺れが落ち着いた段階でも、余震が起こる可能性があるため、復旧に向けて必要な行動を速やかに、そして的確に行うことが求められています。地震後の初動対応としてやるべきことに、被害を抑えること、避難すること、そして情報を収集・共有することがあります。

(1)被害を抑えること

最初の大きな揺れによって、すでに建物・設備への物的被害、そして従業員への人的被害が発生していますから、その被害をこれ以上拡大させないための取り組みが必要です。

①火災の防止
まず、火気を使う設備や器具の使用を支障のない範囲で停止するとともに、消火器や消火栓が使える状態にあるかどうか確認します。実際に火災が発生している場合は、次の対応を進めます。

1)火災の発生を周囲に知らせる
大地震が起こった場合、消防署に通報しても消防車が来るまでに時間がかかる、あるいは来ることができない、という状況が発生します。その場合、企業内で消火対応をせざるを得ませんから、火災を発見した従業員は「火事だ」と叫ぶなどして多くの同僚に知らせます。初期消火にあたっては、次の点に注意します。

初期消火の注意点
・消火器の操作方法に習熟しておくとともに、しっかり火元に向けて放射する(消火器から薬剤が出る時間は、想像以上に短く、消火器の種類よっても異なるが、多くの粉末消火器では15秒前後)
・消火中は自分の身を守るとともに、効果的に薬剤を出せるよう風上から放射する
・天井に火が達するなど、初期消火では鎮火できないと判断した場合は、速やかに逃げる、そして逃げ遅れないようにする
・屋内の消火では逃げ道が失われないように、出入り口を背にして消火にあたる など

 

②同僚などの人的被害を拡大させない
人的被害を拡大させないための活動も重要です。

人的被害を拡大させないための活動
・自分の周囲に負傷者がいないか確認し、いる場合は応急手当を行う
・大きな揺れがおさまった段階で、ヘルメットや手袋を着用していない場合は着用する
・防災用品を確認してすぐに使えるようにする
・窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る(ない場合は、養生テープなどを使う)
・机の引き出しは飛び出さないようにロックする
・事務機器類のキャスターはロックする など