2020/02/05
中小企業の防災 これだけはやっておこう
(2)避難する
建物に倒壊の危険性があるような大きな亀裂が見つかるなど、余震には耐えられないという判断をしたときは、避難する必要があります。建物内の火災が初期消火で鎮火できない、また近隣ビルの火災の延焼に巻き込まれる可能性があるといった場合も、避難を開始します。建物の避難にあたっては、次の点に注意します。
・倒れているキャビネットや散乱したガラスなどでケガをしないようにする
・屋外ではビルの看板や外壁が落ちてくる可能性があるので気をつける
・ヘルメットと手袋の着用を再度徹底する など
火災の延焼が拡大し、地域全体が危険になった場合に避難する場所として、地方自治体によって広域避難場所が指定されています。広域避難場所は災害前に確認し、従業員に周知しておくことが重要です。また避難経路を複数選んでおくことで、逃げまどうことがないようにします。
(3)情報の収集と社内での共有
大きな揺れがおさまった後、人的被害、そして物的被害を拡大させない取り組みは非常に重要ですが、被災後の復旧を進めるためには、それだけでは十分とは言えません。
大きな地震が起こったことによって社会全体はどうなっているのか、電気・ガス・水道などライフラインの状況はどうか、また自社の取引先は大丈夫かなど、復旧に向けて必要な情報を収集し、社内で共有することが求められます。
①復旧を目指して必要な情報
次のような情報を収集・共有することが考えられます。
・大規模地震の詳細
・社会全体の被害状況と復旧見込み(ライフラインや交通の状況など)
・自社の建物・設備・システムの被害状況
・顧客や協力会社など関係先の被害状況
・従業員の安否 など
②情報の収集・共有体制
さまざまな情報は、準備しておかなければ集めることはできません。必要な情報を誰がどのように集め、またそれを社内でどのように共有するかの体制を構築しておくことが大切です。さらに、情報を収集するためには、次のような資器材を準備しておくことも求められます。
・ラジオ(電池式や手回し式)
・テレビ(停電の場合は使えないので、自家用発電装置の導入も検討する)
・タブレット端末やスマートフォン
・携帯充電用のバッテリー
・電池 など
【ここがポイント】
地震の大きな揺れがおさまった後にやるべきことは、余震から身を守り、復旧を速やかに進めるために非常に重要です。
1.初期消火など被害を抑える活動は必須
2.命を守るために建物から避難することも検討する
3.情報の入手・共有も極めて重要
【参考文献】
「今までなかった!中小企業の防災マニュアル」(労働調査会、筆者編著)
(了)
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
おすすめ記事
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方