2017/03/07
ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるために
事故時はハーネス外傷を疑え
特に衝突事故によるハーネス外傷は、人間のハンドル外傷と似ており、胸腔内あるいは腹腔内臓器損傷を合併することあります。具体的には下記の通りです。
① 直達外力による頸椎、鎖骨骨折等や胸骨・肋骨骨折などの胸郭損傷
② 減速外力による心大血管損傷,肝損傷など
③ 胸部分のハーネスと胸椎に挟まれることによる膵・十二指腸損傷など
受傷直後は症状がみられなくても、遅発性ハーネス外傷を疑われる症状が出る場合もあるので注意が必要です。事故後ペットがなんともない様子でも、必ず獣医への受診をお勧めいたします。
レスキュー隊が、ペットが同乗している衝突車両から飼い主家族と思われる運転者と同乗者を助ける際には、ペットの逸走に気をつけて下さい。
また、観察時にはハーネス外傷(多発外傷)も疑って、飼い主の救急処置後は、ペットに対してできるだけの救急処置を行っていただき、動物病院への連絡なども取っていただけるとペットの救命率は上がり、飼い主家族からも喜ばれると思います。
犬のシートベルトとして理想的なデザインは、胸の部分に幅が広めの救命胴衣のようなウレタンが入っているもので、衝突テストビデオにあるような激しい事故によるハーネス外傷も軽減されると思われます。

最後になりましたが、アメリカでペット同乗時に推奨されているペットを交通事故から守るためのポイントについてご紹介いたします。
・ ペットを車に乗せた場合はシートベルトを着用させる。
・ ハーネスは事故のショックに耐えられると思われる強いモノを選ぶ。
・ シートベルトはハーネスに直接付けるなど最短で装着する。
・ ケージは丈夫なモノを選びシートベルトで3点固定する。
・ ハーネスは胸幅の広いものや胸の部分に緩衝材などが入っているモノを選ぶ。
・ ペットは運転手の真後ろの後部座席にシートベルトを装着させる。
など。
いかがでしたか?
ほとんどの犬はドライブ中、窓の外の景色を見るのが大好きなので、できれば自由にしてあげたいですが、ペットが自由に車のなかで遊んでいる状態では、事故の原因にも繋がりますし、道路交通法第55条2項違反になる可能性もあります。
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
何よりも急ブレーキや急停車、衝突事故などを起こした際にペットが前のフロントガラスやダッシュボードに叩きつけられ、大けがをする可能性もあります。
いずれ日本でもペットのシートベルト着用義務が条例などで制定される日が来るかもしれませんが、今からペットの命を守る術としてシートベルト着用を実践し、普及したいですね。
人間の命はもちろん、ペットの命を当たり前に守ることも一緒にモラルとして高めていきましょう。
(了)
ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるためにの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方