事故時はハーネス外傷を疑え

特に衝突事故によるハーネス外傷は、人間のハンドル外傷と似ており、胸腔内あるいは腹腔内臓器損傷を合併することあります。具体的には下記の通りです。

① 直達外力による頸椎、鎖骨骨折等や胸骨・肋骨骨折などの胸郭損傷
② 減速外力による心大血管損傷,肝損傷など
③ 胸部分のハーネスと胸椎に挟まれることによる膵・十二指腸損傷など

受傷直後は症状がみられなくても、遅発性ハーネス外傷を疑われる症状が出る場合もあるので注意が必要です。事故後ペットがなんともない様子でも、必ず獣医への受診をお勧めいたします。

レスキュー隊が、ペットが同乗している衝突車両から飼い主家族と思われる運転者と同乗者を助ける際には、ペットの逸走に気をつけて下さい。

また、観察時にはハーネス外傷(多発外傷)も疑って、飼い主の救急処置後は、ペットに対してできるだけの救急処置を行っていただき、動物病院への連絡なども取っていただけるとペットの救命率は上がり、飼い主家族からも喜ばれると思います。

犬のシートベルトとして理想的なデザインは、胸の部分に幅が広めの救命胴衣のようなウレタンが入っているもので、衝突テストビデオにあるような激しい事故によるハーネス外傷も軽減されると思われます。

出典:Pet Auto

最後になりましたが、アメリカでペット同乗時に推奨されているペットを交通事故から守るためのポイントについてご紹介いたします。

・ ペットを車に乗せた場合はシートベルトを着用させる。
・ ハーネスは事故のショックに耐えられると思われる強いモノを選ぶ。
・ シートベルトはハーネスに直接付けるなど最短で装着する。
・ ケージは丈夫なモノを選びシートベルトで3点固定する。
・ ハーネスは胸幅の広いものや胸の部分に緩衝材などが入っているモノを選ぶ。
・ ペットは運転手の真後ろの後部座席にシートベルトを装着させる。
など。


いかがでしたか?

ほとんどの犬はドライブ中、窓の外の景色を見るのが大好きなので、できれば自由にしてあげたいですが、ペットが自由に車のなかで遊んでいる状態では、事故の原因にも繋がりますし、道路交通法第55条2項違反になる可能性もあります。

【道路交通法第55条2項】
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。


何よりも急ブレーキや急停車、衝突事故などを起こした際にペットが前のフロントガラスやダッシュボードに叩きつけられ、大けがをする可能性もあります。

いずれ日本でもペットのシートベルト着用義務が条例などで制定される日が来るかもしれませんが、今からペットの命を守る術としてシートベルト着用を実践し、普及したいですね。

人間の命はもちろん、ペットの命を当たり前に守ることも一緒にモラルとして高めていきましょう。

(了)