前回は、大きな地震に見舞われた際、どのように従業員の被害の確認、つまり安否確認を進めていくかについて説明しました。今回は、従業員と並んで企業にとって重要な経営資源である建物・設備などに関する被害の確認と、その後の対応について考えます。

復旧活動編その2 被害の確認:建物・設備など

大きな地震に見舞われたときに行う建物・設備の被害確認は、確認すべき内容と、その際に行う応急対応の手順を決めておくことが重要です。

1. 建物の被害確認

(1)建物本体の被害確認
建物の被災状況は、総務部など後方支援を担当する部門が中心となって確認します。工場などの製造現場では、現場責任者と連携しつつ確認を進めることが重要です。

実際には倒壊していなくても、その後の余震に耐えられるかどうかの観点から、まず目視で確認することになります。建物の安全性が確保できず、使用することができないと判断される建物については、従業員の避難誘導を優先しつつ、立ち入り禁止にします。

また、その建物が立ち入り禁止であることを、自社の従業員や来訪者だけでなく、付近を通行する歩行者にも分かるように表示しておきましょう。

①壁や柱、そして天井
壁や柱にひび割れはないか、また天井に落下しそうな部分はないかなど、従業員に危険を及ぼす場所の有無を確認します。被害の程度によっては応急修理などの対応を行いますが、自社で行うことが危険と判断される場合は、専門の事業者に依頼することが大切です。

②扉や窓
ガラス製の扉やガラス窓が割れている場合は、ケガをしないように片付けるとともに、建物の外にガラスが飛び散っていないか確認します。併せて、ガラスが飛散している場所は片付けが終わるまでは立ち入りを禁止して、その旨を掲示しておきましょう。地震後、建物内部の扉の開閉に不都合が生じた場合は、余震が起こった際に避難の妨げとならないよう開いたままの状態にしておきます。

自社での応急対応が難しいようであれば、専門の事業者に修理を依頼します。

(2)避難経路の被害確認
地震の大きな揺れによって階段が壊れている、通路の扉が開閉できない、あるいはキャビネットが倒れて通行できないなどの状況が起こり、避難経路が使えなくなることが考えられますので、そのような状況が発生していないか、複数の従業員で確認します。

避難経路がふさがれている場合は、速やかに代替となる避難経路を検討し、全従業員に周知することが求められます。