2020/04/01
中小企業の防災 これだけはやっておこう
2. 設備・機器や什器備品の被害確認
(1)確認の流れ
設備・機器や什器(じゅうき)備品の被害確認は、次の流れで行います。
①目視による確認
②故障や破損したところは、まず自社の従業員が応急対応する
③自社従業員での対応が難しい場合は、保守事業者・修理事業者に対応を依頼する
設備や機器によって、保守事業者や修理事業者は異なります。地震の被害に見舞われた際、平常時の担当者がその場にいるとは限りませんので、保守事業者・修理事業者の連絡先と、それぞれの契約番号・保守番号などを職場全体で共有しておくことが大切です。
(2)火災発生が懸念される箇所
食堂のガス機器類やオフィスのコンセントなど、火元となり得る箇所について、被害の有無を確認します。特に電気製品の場合は、次の点を十分確認しましょう。
・使用する場合は、異音や異臭がしないか確認する
・見た目に異常がない場合でも、使用して異常を見つけた場合は使用を中止する(地震の揺れによって内部が損傷している可能性があるため)
・コード類が、事務機器やキャビネットの下敷きとなり断線していることがあるため注意する
・転倒や落下、そして水濡れの形跡がないかどうか確認する など
異臭がする場合は、火災の可能性があるので、複数の従業員で発生場所を調べます。また、ガス漏れが疑われる場合は、安全が確認されるまで電気製品の使用を中止しましょう。
(3)エレベーター
エレベーターは、地震の大きな揺れを感知すると、自動的に最寄り階に停止して扉が開くことになっています。しかし、その自動停止機能が作動せず、従業員や来客者がエレベーター内に閉じ込められることが考えられます。そのような場合は、速やかに保守事業者に救出を依頼します。
地震が収まっても、地震の揺れでエレベーターが損傷していることが考えられます。保守事業者の点検による安確認を待ち、使用を再開します。
(4)ネットワーク類の被害確認
通信やインターネットなど、次のネットワーク類に支障が発生していないか速やかに確認を進めます。
・内線電話を含む固定電話と携帯電話
・社内のネットワークおよびインターネット
・自社内で使っている生産管理システムや各種情報システム など
【ここがポイント】
従業員と並んで重要な経営資源である建物・設備に関する被害確認は、その後の復旧そして事業継続のために必須のアクションです。事前に決めた手順に従って速やかに実行します。
1. 建物・設備の被害確認については、確認するべき内容と、その際に行う応急対応手順を決めておく
2. 自社で応急対応できない場合は、速やかに保守事業者・修理事業者に依頼する
3. 被害確認に当たっては、二次災害に見舞われないように注意する
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方