食中毒予防の注意事項を守ること

さて、現在わが国の場合はどうでしょうか。

厚生労働省、新型コロナウイルスに関するQ&Aの(一般の方向け:2020. 4. 3.)には以下のような注意がされています。

「Q10〜前略〜食品や食事の配膳等を行う場合は、不特定多数の人と接する可能性があるため、接触感染に注意する必要があります(接触感染は新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路の1つです。食器についても同様で、清潔※コロナウイルスは熱(70度以上で一定時間)及びアルコール(70%以上、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります)に弱いことがわかっています。製造、流通、調理、販売、配膳等の各段階で、食品取扱者の体調管理やこまめな手洗い、手指消毒用アルコール等による手指の消毒、咳エチケットなど、通常の食中毒予防のために行っている一般的な衛生管理が実施されていれば心配する必要はありません。WHOからの一般的な注意として『生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費を避けること、それらの取り扱い・調理の際には注意すること』とされています。取扱を含め十分お気をつけ下さい」

以上、「日頃から食中毒予防の注意事項を守っていれば安心です」という内容ですが、それは徹底されなければなりません。

今日、食中毒は頻繁に発生しています。ちなみに、厚生労働省の統計によると、1年間(2018)の患者は1万7282人、死者は3人で患者の半数はウイルスが原因です。より一層気を引き締める必要があります。

店の食器の洗い方、消毒はどのように行われているのか、具体例を挙げました。その他にも方法(追記参照)がありますが、割愛します。

・全自動の食器洗い乾燥機の使用:機種により一様ではないが、80度の熱水を循環させて洗浄・乾燥させているよう。仕様書によると耐熱90℃以下の材質の食器は入れないように注意
・スチーマーの使用:食器を手洗いした後、スチームの充満した庫内に食器を入れて殺菌
・食器用の消毒保管器の使用:温度調節が可能、80度5分以上で殺菌
・紫外線殺菌庫の使用:まな板、包丁など。温度はそう高くない
・ハイターの使用:食器を希釈液に付けておき、その後洗う
・アルコールスプレーの使用:乾いた食器にアルコールスプレーをかける(ただしアルコールが品薄で入手不可)
・熱湯消毒

上記のような方法でなく手洗いだけで済ませる店の場合、ガラスのコップ、ビールのジョッキなどに前に利用した客の口紅や指紋などがそのまま残ることもあるかもしれません。手洗いするときと同じように食器も入念に洗うことが必要です。

食器の消毒だけではなく、「料理人」「サービスする人」などが新型コロナウイルスの感染源にならないように留意することも大切です。例えば、

・従業員全員の毎日の体温計測義務付け
・料理を運ぶサービスをする人の清潔(服装、長い髪の毛、指先)
・店内の清潔、殺菌(テーブルや椅子の背もたれなど)
・レジ係とサービス係の区分(お金を扱う場合)

まとめ

新型コロナウイルスにすでに感染しているがまだ発病していない未検査の人(潜伏期間中=無症状病原体保有者)も来店します。健康者と混在して食器や箸、スプーンなどを共用するので食器やグラスが感染源になります。感染者と未感染者の見分けはつきません。スペイン風邪当時の資料からは、アメリカでの取り組みは日本よりも具体的で徹底されていることが分かります。今、新型コロナの場合、さらに念には念を入れることが感染回避につながるでしょう。

追記(2020. 4. 15. 時事通信)
「経済産業省は15日、台所・住宅用洗剤の材料である「界面活性剤」など3品目について、文献調査の結果、新型コロナウイルスに対する消毒効果があることが分かったと発表した。
代替ウイルスを使った検証試験を製品評価技術基盤機構(NITE)と実施し、5月中旬にも有効性が確認される見通しだ。
同省は、市販の消毒液が品薄な場合はこれらの品目でも代用可能で、検証試験の結果判明前に使用しても問題ないと説明している。
消毒効果が分かったのは界面活性剤のほか、塩酸や食塩水を専用機器で電気分解して作る「次亜塩素酸水」とウエットティッシュに含まれる「第4級アンモニウム塩」。いずれもドアノブなど物品の消毒に有効で、第4級アンモニウム塩は手指にも使える。洗剤を利用する場合は、ぬるま湯で薄める必要がある。
代替ウイルスの試験結果を確認後、実際のコロナウイルスを使った試験も実施する予定だ」