2017/06/07
防災・危機管理ニュース

世界最大級のトラベルシステムを保有するアマデウス社(本拠地:スペイン・マドリッド)の日本法人であるアマデウス・ジャパンは6日、企業と出張者の計画・予約から危機管理、経費管理、出張レポートまで可能なモバイル対応の出張管理システム「Amadeus cytric Travel & Expense」の日本版を提供開始すると記者発表した。同社日本法人代表取締役社長の竹村章美氏は「日本は出張支出が年間7兆2000億円以上という世界第4位の出張大国。しかし現在はテロなどの影響で従業員と企業の双方に危機管理に対する強い懸念がある。アマデウスのシステムは危機管理を含む出張のあらゆる場面をサポートする企業として、旅行業界で選ばれるパートナーになりたい」と意気込みを語る。日本では三菱ふそうトラック・バスが同サービスを日本企業で初めて採用したことも同時に発表した。

アマデウスは1987年、「トラベルプロバイダ」と呼ばれる空港会社や鉄道会社などの各種交通インフラ会社と旅行代理店などの販売会社をつなぐサービスとして、エールフランス、イベリア航空、ルフトハンザドイツ航空、スカンジナビア航空の出資によってよって設立された。現在の売り上げは44億ユーロ(約5433億円:6月7日現在)にのぼり、190か国以上で事業を展開。175社以上の航空会社にもシステムを提供している。同社アジアパシフィックプレジデントのアルバート・ポゾ氏は「アジア太平洋地域は世界最大級の経済圏の3/4、法人出張分野の1/3以上を占める世界の旅行市場の中心的存在。モバイルの予約普及率もほかのあらゆる市場をリードしている」と、アジアへの事業展開強化に意欲を見せている。

危機管理面では、システムに付随するAmadeus Mobile MessengerのGPSにより、出張者の場所をリアルタイムで特定することが可能。アイコンをクリックすれば出張者の旅程を獲得できる。危機が発生した場合にはメッセンジャー機能により複数の出張者と同時に連絡を取り合うことができるほか、SMS(ショートメッセージ)やメールなども選択可能だ。GPS機能は出張者がオン/オフを選択でき、プライベートにも配慮した。今後はテロなどの事件が発生した際に自動的に警告が発せられるなどのアラート機能も開発する予定だ。

竹村氏は「アマデウスのシステムを活用すれば、出張費用は10%削減でき、出張中は危機管理にも対応。出張の経費精算レポートでは作業の70%を削減できる」としている。
(了)
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