2013/05/25
誌面情報 vol37
特集1 読者アンケート
危機管理リーダー BEST10&WORST10
リスク対策.comではこのほど、メールマガジン読者、WEB閲覧者らに対し、「最も優れていると思う危機管理リーダー」「最も評価できないと思う危機管理リとーダー」について、アンケート調査を行った。その結果、最も優れた危機管理リーダーでは徳川家康、最も評価できない危機管理リーダーでは菅直人元首相が、それぞれ最多の回答を得た。調査は5月7日~14日までの1週間にかけ、メールマガジン読者や本誌ホームページ閲覧者らを対象に行い、合計130人の回答を得た。
日本人は徳川家康が好き?
危機管理リーダー・ベスト10の1位は徳川家康となった。世代別(40代~70代)、BCP/防災担当者かそれ以外であるかなどに関係なく、あらゆる層からまんべんなく得票した。戦国時代に終止符を打って250年も繁栄する徳川幕府の礎を築いたこと、リスク分散とリスク低減をはかりながら、長崎出島で海外の情報収集を行なっていた点などが評価されたようだ。
2位は、初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏となった。東大安田講堂事件、よど号ハイジャック事件、浅間山荘事件などでリーダーシップを発揮し、有事の際に適切な対応をしてきた危機管理分野の第一人者として当然の結果といえようか。
10位までのリストには入っていないが、2票以上を獲得した人物としては、大量のリストラも余儀なくさせられたが、高コスト体質で実質倒産企業であったJALを見事に再建させた稲盛和夫氏(元JAL会長)市長直属。の危機管理室を設置し、9.11の同時多発テロの時、テロに迅速に対応したジュリアーニ元ニューヨーク市長。東日本大震災、タイの洪水、円高、リコールなど困難な時期にリーダーシップを発揮した豊田章男氏(トヨタ社長)。危機管理の要諦である「後藤田五訓」を提示、徹底させた後藤田正晴氏。明暦の大火から江戸を復興させた保科正之などの顔が見える。
佐々氏を含め、オバマ米大統領、カルロス・ゴーン日産社長など、現役の人物を推したのはBCP/防災担当者に多く見られたのに対し、「それ以外の人」が推した人物は、徳川家康、織田信長、保科正之、武田信玄、勝海舟、坂本龍馬、大石内蔵助といったいわゆる歴史上の人物が多かった。小説やドラマなどで描かれた「人気者」であり、危機の時代を実績としてやり抜いたことが評価された結果と言えるのではないか。
民主党政権の3人の元首相がランク入り
危機リーダー・ワースト10は、当然の結果?というか、東日本大震災時の首相菅直人氏が全体の4割近くを集め、ダントツの1位となった。
大震災とそれに続く津波、さらに東電福島第1原発のメルトダウンなど、「想定外」で「未曾有の事故」が続いたことは確かだが、国の最高指揮官として、原発への初動対応を誤り、被災地への救助や復興など全てにおいて状況把握力、決断力、実行力を欠いた。平時ならばともかく、この天災の時に国家観が欠如した宰相が指揮をとることになったのは国民にとって悲劇だった。
ワースト10に、菅首相をはじめ、鳩山由紀夫、野田佳彦、村山富市、小沢一郎の各氏など、非自民党政権の首相や政治家が名を連ねているのは皮肉と言える。
一方で、アベノミクスが評価され、内閣支持率が高い現首相の安倍晋三氏が3位となった。第一次安倍内閣を途中で放り出したこと、外交問題や防災危機管理に未知数の部分があると思われているせいかもしれない。
ワースト10のリストでは現役の人物が多く、歴史上の人物では、織田信長、今川義元、乃木希典がランクインした。10位以下では、織田信長を滅ぼした明智光秀、その明智光秀を討った豊臣秀吉を挙げる人もいる。豊臣秀吉は、無理な海外派兵や贅沢三昧など、最後は大局を忘れて私欲に流されて一族を滅亡に追いやった点などが指摘されている。
東京電力の経営陣は、雪印事件と同様、経営陣にリーダーシップやコンプライアンス、危機管理能力が欠如しており、必然的に不祥事を起こしてしまう企業体質の脆弱さを指摘する人が多かった。
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