2017/07/21
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
避難所では高齢者や子ども、障害のある方も要注意!
りす:水分や塩分がないからと意識のない人に無理やり飲ませるというのはNGということは、通常でも言われていますが、災害時に気が動転して、すぐ医療機関にかかることができないと思うと、かえって無理に飲ませてしまおうと頑張ってしまうケースもあるように思います。しっかり意識しておきたいですね!
また、夏場の災害は熱中症対策が欠かせないことから、 この時期は、水や氷や保冷材を多めに確保しておくことが何より重要になりそうですね。
冷蔵庫の種類にもよりますが、一般的に冷凍の庫内は、隙間なくモノがつまっている方がお互いを冷やすことができるので、保冷効果が高いと言われています(冷蔵の方は逆に隙間があったほうがよく冷える)。
だから、冷凍庫に隙間があったら、保冷剤や氷をつくっておくことも大切かもしれません。ただ、もし万が一、電気も水道もとまって、備蓄も足りなかった場合、できることはあるのでしょうか?
秋冨先生:夏の災害で電気も水道も止まった状態から始まる避難生活も予想されますが、そうなると氷や保冷剤も確保しにくくなります。確保できない状況で過ごすことを前提とした計画を立てなければなりません。
りす:確保するための努力と確保できなかった場合の計画、両方大切になりますね。夏場は特に、広域避難を考えなければならないケースも多くでてくるかもしれませんね。
避難所では、高齢者や障がいのある方、こどもたちへの配慮が他の季節以上に求められそうです。
秋冨先生:熱中症のリスクが高い高齢者や子供、そして障がい者の方たちに対しては、注意して避難所の温度や風通しなどの環境に注意してみること、そして十分な休息と水分の補給を行うことが重要です。災害時にはつらい避難所生活になるかもしれませんが、炎天下で働いて水分補給に気をつけている人たちよりも、避難所でじっとしていて暑さを感じにくくなる高齢者の熱中症のリスクが高くなることを覚えておいてください。
りす:被災地でのアドバイスも、炎天下で働く方の帽子や衣類、水分補給についてはイラスト入りで注意喚起がなされるようになってきましたが、じっとしている方へのアドバイスは盲点になっている気がします。
睡眠時間や休息を他の季節以上に確保する重要性とそのための方策を事前にもっと考えておかなければならない事がわかりました。
これだけ猛暑日が続く昨今ですから、防災に関わる人も、そうでない人も、普段から4万人も緊急搬送される事態を減らし、災害時の悲劇を減らす必要性を強く感じました。
秋冨先生、お忙しいなか貴重なアドバイスいただき、ありがとうございました!
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方