2020/06/10
テレワーク時代のデジタルBCP基礎講座
4. ネットワーク
テレワークを行う際、PCを自宅などのネットワーク、モバイルルーターやスマートフォン(テザリング接続)に接続する。この時懸念されることが3点ある。情報漏えい、マルウェア感染、そしてネットワーク回線への負荷だ。
テレワーク環境から直接インターネット接続することによって、社内ネットワークのファイアウォールなどのフィルタリング、モニタリングを通過しなくなる。そうなると、私用のクラウドサービス(OneDrive、iCloud、Twitterなど)やフリーメール(Gmail、Yahoo!メールなど)が利用できるようになり、PCから業務情報をアップロード、送信できてしまう。利用しないように注意すべきだ。
また、テレワーク環境を標的としたサイバー攻撃も確認されており、不審メールに記載されたURLのクリック、もしくは検索時のリンクから危険なサイトに誘導される可能性がある。そうすると、マルウェアに感染することがある。こちらも、不要・不審なサイトにはアクセスしないよう啓蒙しなければならない。
それから、セキュリティー観点とは異なるが、VPNを利用している場合はアクセスが集中して、つながらない、反応が遅いなど、業務効率悪化という事象が発生する。そこで、VPNアクセスする時間を分散する、VPNを通さず直接インターネット回線から接続できる環境を整えることを考える必要がある。
5. コミュニケーション
テレワーク環境で大きく異なるところは、会議だ。ビデオ会議が主流だが、使い方を誤ると、情報漏えいやサイバー攻撃を受ける可能性がある。
パスワードなどによる認証を行わなければ、会議用のURLを知った第三者がビデオ会議に参入し、情報を窃取したり、会議を妨害するというようなことも考えられる。正規のメンバーであっても、画面を共有する場合、デスクトップ上で開いているメールやファイルなど、会議に関係のない業務情報を知らない間に漏らしてしまう可能性もある。
また、ビデオ会議アプリケーションには脆弱性(セキュリティー上の欠陥)が存在する場合がある。利用する場合は、常に最新の状態にアップデートすることが重要だ。
その他、電話・メールの機会が多くなることで、メールの誤送信が発生しやすくなることや、ショルダーハッキングと似ているが、通話内容が漏れやすくなるということも気に留めておく必要があるだろう。
検証してルール化を
以上、5つの観点でリスクについて述べてきた。今回は、社内専用PCを自宅などに持ち帰り、テレワークを行うことを中心に説明した。新型コロナウイルスの危機が去っても、テレワークがなくなるということはなく、むしろデジタルトランスフォーメーション(DX)や、働き方改革は加速すると考えられる。新たな感染症がまん延する恐れや、数年おきに発生する自然災害も考慮しておかなければならない。
今回の経験を教訓に、モバイルPCを利用するルール、緊急時に社内専用PCを利用するルール、社内で利用しているスマートフォンを社外での通話・通信機器として利用するルール、緊急時に私物のPCやスマートフォンを利用する(BYOD)ルール、例外を認める条件・認めた場合のルールなどを整理し、ルールブック化しシミュレーション(訓練)しておきたい。
テレワーク時代のデジタルBCP基礎講座の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方