2017/07/28
防災・危機管理ニュース
デロイト トーマツは27日、「グローバルビジネスリスク記者勉強会」を開催。デロイト トーマツ企業リスク研究所主任研究員の茂木寿氏がカタールとサウジアラビアなど周辺国の断交や、ベネズエラのデフォルト危機、日本のハラスメントへの注目の高まりについて解説した。
6月、サウジなど中東6カ国がカタールと断交を宣言。カタールがサウジと険悪なイランと良好な関係であることなどが背景にある。6カ国は関係修復の条件として、衛星放送局アルジャジーラの閉鎖やイスラム主義勢力「ムスリム同胞団」との関係断絶など13項目の要求を行ったが、カタールは拒否している。サウジとの国境閉鎖や周辺国と空路が途絶えていることもあり、イランやトルコがカタールに物資を空路で供給している。
茂木氏は「カタールは周辺国との連携でもってきたところが大きい。サウジは2011年のアラブの春の際、バーレーンに軍隊を派遣し鎮圧しており、最悪カタールにも同じことをするかもしれない」と警戒した。カタールと関係が良好な西側諸国についても「具体的な手を打てず、注視することしかできないだろう」と述べた。
日本にとってカタールはLNGの供給国で、豪州、マレーシアに次ぐ12.8%を輸入。またカタールは2022年サッカーW杯開催国で、日本企業も多くのインフラ整備プロジェクトに参画している。今後の展開によってはLNG供給が不安定化し、日本での電気料金や生産原価の高騰、プロジェクトの中止による日本企業への損害といった悪影響の可能性があると茂木氏は分析した。
ベネズエラは原油価格の下落や対米関係の悪化で外貨準備高が減少し、デフォルトの危機にある。同国に進出した自動車メーカーは部品の輸入ができず、2016年1月以降生産を停止している。今後、ベネズエラでは輸出入が困難になり燃料や原材料不足により生産工場の停止、必要な外貨がなく、従業員への給与支払いといった資金繰りが困難になる事態が予想されるとした。
ハラスメントでは厚生労働省の2016年度労働相談件数調べで「いじめ・いやがらせ」が前年度比6.5%増の7万917件で5年連続最多。ハラスメントの種類が多様化しており、従業員がSNSで被害を発信し情報が加速度的に拡散するリスクもある。また海外拠点でもハラスメント対策は重要で、茂木氏は「内部通報の仕組みをグローバルに作りたいという企業の相談が増えている」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/04/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/04/05
-
-
-
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
-
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方