2020/06/25
パンデミックと心のレジリエンス
■「否定」を「肯定」に変換する
レジリエンスを高める要素の2つ目は「ポジティブな姿勢」である。こう書くと、私たち日本人はすぐにポジティブ=楽天的とかノー天気といった言葉を連想しますが、まずはその誤解を解かなくてはなりません。
「ポジティブ」とは「肯定的な、前向きな、好意的な」という意味です。これは顔かたちのように生まれた時から備わっているものではなく、親や影響力のある人との対話を通じて経験的に身に付くものです。少し意識して習慣づければ、大人になってからでもポジティブな性格に変えることは可能です。これには2つの方法が効果的です。

一つは、否定的な「状況」や「思い」を意識的に肯定的な「行動」や「言葉」に置き換えてみる、ということ。意外に思うかもしれませんが、頭や心で考えた「思考や感情」と「言葉」はつながっています。「こんなことやってられないよ」という感情が湧き起こったときは、たとえ口に出さなくても、心の中で「こんなこと、やってられないよ」と"言葉"で表現しているのです。
なので、心の中で否定的な「思い・感情」が湧き起こったと感じたら、その言い回しを否定から肯定に置き変えてみる。「こんなことやってられないよ」→「まあこれも修行の一環だよな」のように。まずはこれがポイントです。
コロナ期の今、外出自粛だからと言って手かせ足かせ的な窮屈な気分でいるなどというのは、レジリエンスに反します。

先ほどの「コロナ疲れになる人の特徴」の2つ目には「外出自粛でピリピリしている人」とあります。家にいるのであれば何をしようが自由なはずなのだから「自粛期間中でも楽しむことはやめなくてもいいんです。お子さんと遊ぶ、ゲームをする、今まで見られなかったドラマやアニメ、映画などを楽しむ。ピリピリしている人ほど、なにか楽しみを見つけたほうがいい」と述べています。これもまたポジティブな姿勢の一つと言えるでしょう。
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