2020/07/07
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 政策立案者と政策遂行者
次に、以下の表をご覧いただきたく思います。

日本では、各都道府県に知事がいて、その地方には議会が存在し、裁判所も存在します。いわゆる地方自治体にも三権分立構造が存在するわけですが、中国ではそのかたちが異なります。
中国では、常に各地方自治体の「長」の上に共産党中央より任命された政策立案者(中央政府の政策の伝達者とも言える)である「党幹部」もしくは「党書記」と呼ばれる者が配置されます。彼らは、共産党中央が決定した政策を着実に実現するための指揮官であり、責任者でもあります。
各地方で選ばれた省長や市長などの責任者は、どこまでもそれらの政策を実行することが責務であり、政策を立案したり、地方政府の方針を決定したりする立場にはないのです。
そのため、日本からの駐在員たちがそのことをよく知らず誰と交渉すべきか分からないなどの悩みを持ったり、「長」と呼ばれる人と合意したにも関わらずその約束が反故にされてしまったなどの事件が起きたりしてしまうことが多くあるのです。
これらの仕組みが分からないことが、結果として「中国に騙された」とか「約束を守ってもらえなかった」という苦い思いをして撤退するといった日系企業の失敗談が後を絶たない原因となっているのです。
中国という国家の成り立ちをよくよく理解し、中国ビジネスに挑戦していただきたく思います。
日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方