世界中で異常気象が多発(写真:写真AC)

■はじめに

「気候変動」という言葉が現実味を帯びてきたのは、一昨年の西日本豪雨災害が起こった頃からでしょうか。それまではどんなに激しい台風・豪雨災害を経験しても「たまたまの出来事」「運が悪かっただけだ」と考えて過ごしてきた人も少なくないでしょう。

しかしそうした考えも、次第に通用しなくなりつつあります。昨年は台風15号と19号が関東を直撃し、今年に入ってからは7月にまたもや九州が豪雨災害に見舞われています。

豪雨による河川の増水

こうした出来事は日本に限ったことではありません。世界中で異常気象が多発しています。中国の長江(揚子江)流域の氾濫により世界最大の三峡ダムが決壊するのではと騒がれたのも、記憶に新しいところです。気候変動の影響は、世界規模でより鮮明な形をとるようになってきているのです。

ところで、昨今の新型コロナウイルスの感染流行では、BCPを見直してテレワークの導入を推進したり、自主的休業や休業要請による財務的影響を軽減するためにリスクファイナンス対策を強化した企業も多いでしょう。であるとするなら、そのBCPの見直しをもう一歩進めて、本格的に「気候変動対策」にも着手してみてはどうでしょうか?というのが、本連載の趣旨です。内容は3つのパートに分かれます。

最初のパートは「気候危機とは何か」をテーマに、いくつかのエピソードをご紹介します。気候変動や環境問題に関心のある人にとっては既視感のある内容かもしれませんが、こうした情報に初めて触れる人も少なくないと思うので、あえて入れることにしました。

次のパートは「気候危機に適応する事業継続の考え方」です。気候危機への取り組みは世界的潮流になりつつあります。当然BCP/BCMも何らかの形で見直しを迫られることになるでしょう。気候危機は「立ち向かうもの」ではなく「適応するもの」であることに注意してください。

最後のパートでは「BCMによる持続可能社会への貢献」について考えます。BCPに気候変動対策を取り入れるだけではなく、持続可能な社会の実現に向け、BCMの活動をどう実践していくのか、そのロードマップを考えます。