2020/08/07
知られていない感染病の脅威
動物からSFTSウイルスの感染を受けないために
SFTS流行地では、SFTSウイルスに感染して発病した猫や犬から、SFTSウイルスの感染を受け、SFTSに罹患する危険性のあることが明らかになっています。したがって、何らかの病気にかかっていると思われる猫や犬には、不用意に近寄らず、接触しないことが何よりも大切です。
また、健康を害した猫や犬に触れることを業務とする獣医師をはじめとする獣医療従事者は、自分自身を守りウイルス拡散を防ぐために、SFTS防疫対策に万全を期すことが重要です。
人にSFTSウイルスを感染させる危険性のある猫などは、人のSFTS患者で認められる症状と同じ症状を示すことが確認されています。したがって、逆に、外見上健康な猫などから人へSFTSウイルスを感染させる危険性はあまり高くないという考えもなされています。
屋内のみで飼育されている猫がSFTSウイルスに感染する危険性は低いと考えられます。SFTSウイルスに感染し、発病している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染することも否定できないと考えられています。
野外でマダニからFSTSウイルスの感染を受けないために
野外でのSFTS ウイルス感染を防ぐためには、マダニに咬まれないための工夫を凝らすことが必要です。このことは、SFTSだけでなく、国内で毎年多くの発生事例が起きている、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の感染病予防のためにも重要です。
特にマダニの活動が旺盛な春から秋にかけては、野外でマダニに咬まれる危険度は高まります。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に立ち入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダルなどは危険)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻くなど、極力肌の露出を少なくしてダニの咬傷を防ぐことが必要です(図2)。
衣服は、マダニを目視で確認しやすい明るい色のものが推奨されます。ジエチルトルアミド(DEET)成分を含む虫除け剤の中には、服の表面から用いるタイプの薬剤があります。ダニ避けには補助的な効果はあるといわれています。
野外で活動した後には入浴して、マダニに咬まれていないことを確認する必要があります。特に、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などのチェックが重要です。体表に吸血中のマダニを発見した時には、自分でマダニを皮膚から無理に剥がさず、医療機関(皮膚科)などを受診してマダニを除去してもらわねばなりません。
犬の散歩中に、犬の皮膚にマダニが吸着して吸血しているところを発見した場合、直ちに獣医療機関を受診して、マダニを除去してもらう必要があります。
知られていない感染病の脅威の他の記事
- 西日本で高病原性鳥インフルエンザの発生相次ぐ
- 多臓器不全を起こし死に至るケースもある
- 2つの流行期を持ち毎年400~600人が罹患
- 感染予防に欠かせない消毒剤の適切な選択と扱い
- マダニ咬傷だけでなく犬や猫からも感染
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/22
-
-
-
-
-
-
なぜコンプライアンスの方向性はズレてしまったのか?
企業の不正・不祥事が発覚するたび「コンプライアンスが機能していない」といわれますが、コンプライアンス自体が弱まっているわけではなく、むしろ「うっとうしい」「窮屈だ」と、その圧力は強まっているようです。このギャップはなぜなのか。ネットコミュニケーションなどから現代社会の問題を研究する成蹊大学文学部の伊藤昌亮教授とともに考えました。
2024/10/10
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方