2020/08/17
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
台風のアウターバンドに伴う降雨
実際の台風の際には私たちがよく経験している通り、台風接近や上陸の前から大雨になることがあります。令和元年東日本台風の際には神奈川県のアメダス箱根で1001.5ミリの積算雨量を記録しましたが、台風が上陸・最接近した時間帯だけでそれだけの雨が降ったわけではありません。下が箱根の降水量の記録です。箱根では、伊豆半島に台風が上陸する12時間以上前から一時間に40ミリ以上の大雨が観測されていました。その状態が継続したため、積算雨量が記録的なものになったのです。
参考までに、箱根で1時間に40ミリ前後の雨が降っていた10月12日の7時00分時点の雨雲の様子を見てみましょう(下図参照)。この時、台風自体はまだ太平洋上です。しかし、関東地方から東海地方、近畿地方の一部に黄色や赤色などの活発な雨雲がかかっていることが分かります。これは台風の外側にある帯状の雲(アウターバンドと呼ばれるもの)に該当するものです。このアウターバンドの中で地形的な影響などを受けて所々で雨雲が発達しています。箱根もそうした地域の一つで、台風が最接近する前から雨量がまとまりました。
なお、台風本体が遠く離れ、アウターバンドがかからない場合でも、停滞した前線に台風などからの暖かく湿った空気が流れ込み大雨となることがあります。線状降水帯が台風時に発生することもあり、ここから述べる予測情報の把握と実況監視で大雨の可能性を把握することが危機管理の上で非常に重要となります。
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識の他の記事
おすすめ記事









※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方