2014/01/25
事例から学ぶ

民間企業は自治体との協定をどのように締結しているのか、協定を確実に実行するようにどのような工夫をしているのか。現在、全国の自治体と100を超える協定を結んでいるセブン&アイグループの取り組みを取材した。
2011年3月11日の東日本大震災。セブン&アイ・ホールディングスでは発災後ただちに災害対策本部を立ち上げ、東北地方の支援に向け、無償で提供できる義援物資の準備に取り掛かった。発災直後から20トンの給水車に水を汲み入れ翌日には宮城県の災害対策本部に向け出発させたほか、当日ヘリコプター2機をチャーターして積める限りの食料や飲み物を被災地に送り届けた。その後もトラックで現地に緊急支援物資を搬送。その量は2リットルの水ペットボトル3万本、バナナ1800本、パン類7000個、ごはんパック4800個、その他、紙おむつ、ベビーフード、カップ麺、レトルトカレー、肌着・衣類など膨大な量にのぼる。これらは協定とは関係なく、しかも現地からの要請を受けたわけでもなく無償で送り届けた物資だ。
過去の災害でも義援物資は必ず送っている。しかし、東日本大震災は、この義援物資だけでは被災地の需要は賄いきれず、東北地方の自治体からは緊急支援物資の要請が相次いだ。
2013年4月末までに送り届けた物資は有償・無償を含め61団体に対し計16億円分に相当する。しかし、このうち、事前に協定を締結していたのは約半数にとどまる。
協定があっても無くても、要請があれば、できる限りの物資を送り届けるというのが同社の姿勢。では同社にとって協定の意義とは何か?

総務部グループ渉外シニアオフィサーの成田庄二氏は「協定は被災地への支援を確実に行うための1つの方法論」と説明する。しかし、前提として、被災地支援は「地域社会に信頼される誠実な企業でありたい」という社是を守るために不可欠なものであり、したがって、それをより確実にするための協定は必要なものだとする。
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