2014/03/25
事例から学ぶ
地域内にある複数の企業が連携して、BCPに取り組むことで他の地域との差別化を図る取り組みが東京都京橋地区で始まっている。清水建設が中心となり、事業継続マネジメントシステムの国際規格であるISO22301を活用して被災時における生活水の供給など地域の安全性を確保するとともに、エネルギーマネジメントシステムのISO50001を使って地域全体のエネルギー効率を高め環境と防災の両立を目指す。

東京都中央区京橋地区。江戸時代には日本橋と並び商いの町として栄え、東海道を日本橋から上方へ上る際の最初の橋として重要な意味を持っていた地域だ。銀座に近く歴史を感じる町並みは戦後の文化人たちに愛され、現在でも小さなアートギャラリーや骨董屋が立ち並ぶ地域である。「京橋地区は、近くに日本橋、銀座、八重洲といった日本有数のブランド地域があり、それらの地域に負けないためにも地域全体でBCP性能や環境性能を上げていくことで、地域全体の競争力を強化したい」と語るのは清水建設ecoBCP事業推進室の那須原和良室長。清水建設本社がある中央区京橋1・2丁目界隈も、多くの既存街区と同様、築年数が古いビルや中小規模の施設が多い地域で、それらが単体でそれぞれ防災力や環境性能を高めるのは現実的にコストや施設の面で難しい。しかし那須原氏は「例えば地域で役割を分担し片方のビルは水を、もう片方は食料をそれぞれ備蓄しあうなど“共助関係”を築ければ、防災力は向上するはず」と話す。その実現のために発足したのが清水建設をリーダーに、地域の熱供給を行う東京都市サービス、建物の保守管理会社のシミズ・ビルライフケアの3社で構成する「京橋スマートコミュニティ協議会(以下、協議会)」だ。3社は13年6月、経済産業省の公募事業である「事業継続等の新たなマネジメントシステム規格とその活用などによる事業競争力強化モデル事業(グループ単位による事業競争力強化モデル事業)に京橋1・2丁目地域を対象にした「既存都市域での段階的な地域連携における高効率化並びに事業継続性強化計画」を提案し、採択された。
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