2014/03/25
誌面情報 vol42
5つの生協で首都直下地震に備え連携
日本生活協同組合連合会
生活協同組合(生協)の2012年度の会員数は約2700万人、一般的な企業の売上高にあたる供給高は約2.8兆円と日本屈指の規模を誇る。全国各地にある生協がBCPで連携し大規模災害対策に備える。この取り組みを日本生活協同組合連合会(日本生協連)がリードし2011年から進めている。

今年2月25日、日本生協連と首都圏を中心に展開する5つの生協が首都直下地震を想定した訓練を実施した。「今年度に策定した首都直下地震対応マニュアルの検証が目的」と話すのは日本生協連、法務・危機管理室の坂田杏子氏だ。
日本生協連は各地域にある生協や生協が集まった事業連合が参加する全国組織で、コープ商品を開発し全国各地の生協への商品供給を行っているが、日本生協連と各生協はそれぞれ独立した法人で協力関係にありボランタリーチェーンに近い。
日本生協連では、1995年に起きた阪神・淡路大震災から防災対策を進め、新型インフルエンザ対策も含めマニュアルなどの整備を行ってきたが、東日本大震災では東北3県の生協が大打撃を受けた。同会では地震発生30分後に対策本部を立ち上げ、支援物資の手配と発送を11日に始めた。翌日の7時には、みやぎ生協の富谷共同購入物流センターに物資を届け、震災発生後3週間までに約1000万点を超える商品を被災地に運んだ。現地の対策本部には職員を送り、物資や金銭的支援も実施。その一方で、全国各地の生協からの支援を現地につなげる仲介役としての役割も果たした。
全生協の経営資源を被災地支援に
被害が広範囲にわたる大規模災害に対応するため、生協グループとしてBCPに取り組むことを決めたのは2011年5月。2012年には大規模災害全国生協連携計画(「全国生協BCP」)を作成し、人命最優先などの方向性を示した。2013年には改訂版を出し具体的な方策を盛り込んだ。「全生協グループの経営資源を被災地支援にあてるのが前提」と日本生協連法務・危機管理室長の武田賢治氏は語る。
「全国生協BCP」では、災害から1~2日の初動段階に規定量の緊急支援物資を被災地域の生協に自動的に送り込む。1週間後を目安に時間経過とともに変わるニーズを踏まえ、被災生協からの求めに応じて最大限の物資を送る。1カ月後からは事業再開段階とし店舗を通常の運営に戻らせるような支援を実施する。
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