医療情報ネットと連携
空きベットの状況なども関係機関で共有

「FUJISAN」に入力されている情報で特長的なのが、災害拠点病院や医療救護病院ほか、人工透析機関や感染症指定医療機関、社会福祉施設などの医療施設情報が充実している点だ。もともと静岡県は住民向けに「医療ネットしずおか」を立ち上げるなどネットによる情報共有が進んでいた。「医療ネットしずおか」は厚生労働省の広域災害救急医療情報システム(EMIS)に参加しており、さらに県独自の情報として人工透析機関状況などを付加していた。2013年の同ネットのリニューアルに伴い、EMISの情報を「FUJISAN」に提供することを決定(ただし閲覧のみ。入力は不可)。その際に人工透析機関状況などの独自機能は「FUJISAN」に移設した。 

現在は「FUJISAN」を通じて消防や自衛隊、警察も県内医療機関のベットの空き状況などを確認することができるようになった。医師会だけでなく、病院団体、看護団体、歯科医師会、薬剤師会など広範囲に渡る医療団体が参加している県の情報共有システムは、全国的に見ても珍しい。 



災害時は、災害拠点病院はシステムを通じて直接、県に対して物資や医師・看護師派遣などの支援要請を行う。必要であれば災害初期にDMAT等医療チームの派遣要請も可能だ。また、システムは県道路交通規制情報提供システムとも連携しているため、救急搬送しなければいけない時に県内道路の災害時交通規制情報などもGISで確認できる。「災害時はもとより、パンデミックなどの事態にもシステムを活用できる」(静岡県危機管理部危機対策課対策班長渡辺岳史氏)としている。