小池知事(左)は無電柱化の意義や今後について約400人の前で語った

東京都は10日、「小池知事と語る、東京の無電柱化」と題したイベントを東京・新宿区の都庁で開催。約400人が参加した。小池百合子知事のほか放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏、元文化庁長官の近藤誠一氏がコメンテーターとして参加した。小池知事は災害時に道路をふさがないための無電柱化についてコスト削減策のほか、2020年東京オリンピック・パラリンピックへ加速させる方針を示した。

11月10日は無電柱化の推進に関する法律で定める「無電柱化の日」。小池知事は「昨年法律ができ、今年は東京都無電柱化推進条例ができた。制度はできたので今後は技術などが課題」と述べ、「防災、歩行空間の確保、良好な景観という3つの目標が無電柱化にある」とした。また五輪までに首都高速中央環状線の内側である都心部や競技会場付近の都道の無電柱化を完了させることを説明した。

さらに小池知事は無電柱化において「『心・技・体』が重要」と述べた。「『心』は街を美しくしたい心意気、『技』は技術、『体』は税制など体制。これらがそろえば進んでいく」と説明。「五輪はいい目標となっている」と説明した。

現在主流となっている共同溝方式ではkmあたり5.3億円かかるコストの削減について小池知事は、「交通量の少ないところでの浅層埋設の採用、地上機器の改良や量産化、競争を働かせることなどで進んでいく」と述べた。

デーブ・スペクター氏は「カラスの陰謀かと思うほど電柱が多いと思った」とジョークを交え来日時の印象を振り返った。また「五輪ではマラソンなどで東京の街並みの映像が世界中に流れる。日本はアジアをリードしてきたが、シンガポールなどが追いついてきている。アジアに来る観光客の争奪戦のためにも無電柱化は急ぐべきだ」と力説した。

近藤氏は文化庁長官やユネスコ(国際連合教育科学文化機関)大使として世界遺産の指定に携わった経験から「景観面で(電柱があり)日本は恥ずかしいと思った」と振り返った。また「日本はガスや水道など工事で道路を掘り起こすことが多いが、連携し効率化することで無電柱化も進められないだろうか」と提案。小池知事も「担当部局で知恵を出したい。工夫の余地はある」と応じた。

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リスク対策.com:斯波 祐介